• 2020.03
  • 『現代ドイツ基本権(第2版)』
  • 『流言のメディア史』
  • 『コーヒー・ハウス : 18世紀ロンドン、都市の生活史』
  • 『日本人と裁判 : 歴史の中の庶民と司法』
  • 2020.01
  • 『Japanese Financial Instruments and Exchange Act』
  • 『オフショア化する世界 : 人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?』
  • 『米軍基地権と日米密約 : 奄美・小笠原・沖縄返還を通して』
  • 『デジタル・エイプ : テクノロジーは人間をこう変えていく』
  • 2019.07
  • 『死刑〔I〕』
  • 『人口減少社会の未来学』
  • 『あたらしい憲法のはなし』
  • 『首相の権力 : 日英比較からみる政権党とのダイナミズム』
  • 2019.04
  • 『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された白人たち』
  • 『戊辰戦争の新視点』
  • 『日本語の作文技術』
  • 『こうして知財は炎上する:ビジネスに役立つ13の基礎知識』
  • 2019.01
  • 『Robert A. Dahl: An unended quest』
  • 『近代の政治思想:その現実的・理論的諸前提』
  • 『新しい労働社会』
  • 『村山龍平:新聞紙は以て江湖の輿論を載するものなり』
  • 2018.12
  • 『事例問題から考える憲法』
  • 『憎しみに抗って:不純なものへの賛歌』
  • 『貧困と闘う知 : 教育、医療、金融、ガバナンス』
  • 『中野重治詩集 : 中野重治自選』
  • 2018.10
  • 『貨幣と商業(Money and Trade considered with a proposal for supplying the nation with money)』
  • 『憲法改正限界論のイデオロギー性』
  • 『一問一答 民法(債権関係)改正』
  • 『分解するイギリス:民主主義モデルの漂流』
  • 2018.07
  • 『ライシテから読む現代フランス:政治と宗教のいま』
  • 『餓死(うえじに)した英霊たち』
  • 『情報法のリーガル・マインド』
  • 『正しい本の読み方』
  • 2018.04
  • 『立法過程』
  • 『実践国際法(第2版)』
  • 『刑の一部執行猶予:犯罪者の改善更生と再犯防止』
  • 『ファッションロー』
  • 2018.01
  • 『The Presidentialization of Political Parties: Organizations, Institutions and Leaders』
  • 『ブラックバイト:学生が危ない』
  • 『政治とマス・コミュニケーションに関する諸問題 : 黒川貢三郎教授古稀記念論文集』
  • 『わが心の京都府警』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

図書委員からの推薦図書 2018 Vol.4

ジョン・ロー著『貨幣と商業(Money and Trade considered with a proposal for supplying the nation with money)』A.M. Kelley,1966

ジョン・ロー(1671-1729)は,スコットランドのエディバラに生まれる。1705年に主著『貨幣と商業』(Money and Trade)を公刊する。その後フランスにわたり,管理通貨制度を実現する一方で,バブルを引き起こす。ローは,1729年困窮のうちにベニスで亡くなる。本館は,ローの主著をはじめとして,ローと同時代の著作群,親・反ジョン・ロー文献,ミシシッピ会社に関する文献,ロー・システムに関する文献,南海会社に関する法令などを所蔵している。ここで紹介するのは彼の『貨幣と商業』初版である。この初版には2種類ある。表題頁のオーナメントあるいはヴィネットに,海岸線とその水に反射した映像になっているもの(①)と,鷹とぶどうの木が描かれているもの(②)とである。
①は,アメリカ議会図書館本をケリー社が1966年に復刻したもの(337.1||L 41)。②は,コレクションに収蔵されているもの(JO||2)である。いずれも1705年刊,全120ページで,本文に目立った相違はない。しかし②は,ページ番号1や折り記号がついている点で①と異なっている。
(川又 祐教授/6F西開架)

大塚滋著『憲法改正限界論のイデオロギー性』成文堂 2017年

著者は,わが国の「憲法学の主軸をなしていると見受けられる学者たちの議論」には,「まさに悪臭を放つイデオロギーが詰め込まれていた」と喝破する。学問の世界に身を置く者は,「いつまでもその言説を見て見ぬ振りをして放置してはならず,必ずや徹底的に批判し学問の世界から放逐しなければならない」との学者としての責務に根ざした著者の厳しい姿勢が示される。そんな法哲学者によるケルゼン純粋法学からのイデオロギー批判の実践の書である。
本書の大半を占める主章は「自民党による憲法96条先行改正案に対する諸反論」,「憲法96条改正反対論とその系譜」,「自民党反対論の論拠としての『立憲主義』論とその系譜」,および「憲法改正限界論批判」の4節で構成されている。この中で著者の標的たる「イデオロギー」とは,自ら真実でないことを知りながら何らかの実践的目的のためにあたかも真実であるように主張される言説のこと。一流大学教授の名の下に世論を誘導する憲法学者のイデオロギーが白日の下に晒される。
「政治とイデオロギーとデマゴギーに深く汚染された憲法学をそれらから解放」するという著者の思いが達成されたかどうか,結局のところ読者の理解に待つほかない。
(東  裕教授/4F東開架)

筒井健夫・村松秀樹編著『一問一答 民法(債権関係)改正』商事法務 2018年

民法の債権法の部分を中心とする分野について,明治29年に制定されて以来120年ぶりに全般的な見直しがなされ,大きく改正された。この改正法は,2020年4月1日から施行されることになっており,その後はこれにより具体的事件の処理がなされるだけでなく,各種国家試験等もこれを前提に出題されることになる。そのため,その内容を早急に理解しておくことが必要であるが,今回の改正は,事務管理・不当利得・不法行為を除く債権法全体に及ぶだけでなく,民法総則の法律行為の部分や時効に関しても大きな改正がなされているため,その個々の内容の理解については種々の疑義が生じるものとなっている。本書は,簡にして要を得た形で,その改正の趣旨・内容につき立法担当者の見解を一問一答という形で説明を加えており,立法者がどのようなことを考えて立法したのかが簡単に理解できるものとなっている。民法総則や債権総論・債権各論の勉強をしている際に改正法の内容に疑問が生じたときに,立法者の見解を簡単に知ることができるものとなっており,民法を学習していく際には必ず参照すべきものである。
(益井 公司教授/新着図書コーナー)

近藤康史著『分解するイギリス:民主主義モデルの漂流』筑摩書房 2017年

近年の日本において,民主主義のモデルとして捉えられてきたイギリスのイメージは一変した。EU離脱を問う国民投票の結果,既存の二大政党による政党政治は危機的状況に陥った。しかし,著者は,イギリス政党政治の変質が国民投票以前から生じていたと論じている。
同書では,イギリスの政党政治に関して,議会主権,小選挙区制,二大政党制,政党の一体性,執政優位の執政―議会関係,単一国家といった要素が徐々に「分解」してきたことを示している。例えば,議会主権はEUによって掘り崩されてきたし,二大政党制は多党制との間で揺らいでいる。政党の一体性に関しても,保守党と労働党の両党で党内対立が生じている。単一国家という点も,スコットランド独立問題に代表されるように変化が見られる。一方で,小選挙区制は,いまも維持されているし,執政―議会関係では集権制が高まった。しかしながら,著者は,これらの制度的パーツの変形によって,トータルとしてイギリス民主主義が変容したと指摘している。
同書の価値は,大きく分けて2点ある。1つ目は,イギリス政党政治の変容を実証している点である。2つ目は,比較政治学で学ぶ基本的概念が整理されていることである。イギリス政治に興味のある学生はもちろんのこと,政治学全般に対する理解を深めたい学生にとっても必読の書となるだろう。
(三澤 真明専任講師/4F東開架)

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