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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介2020 Vol.1Richard S. Katz and Peter Mair『 Democracy and the Cartelization of Political Parties 』Oxford University Press, 2018.カッツ(Richard S. Katz)とメア(Peter Mair)は、政党がリソースの点でも、スタッフの点でも、政党財政の点でも、以前にもまして充実してきており、政党は国家の一部になったと指摘している。彼らの言う「カルテル政党論」は、国家への政党の浸透によって特徴づけられるとともに、政党間の共謀によっても特徴づけられる。表面上、政党同士は競争相手であるが、共謀と協力を行うことにより、新しいタイプの政党モデルが発達した。本書は、カルテル政党論について、一冊の書物としてまとめられたものである。同書の刊行を受け、2019年にポーランドで開催されたECPR(European Consortium for Political Research:ヨーロッパ政治学会)年次大会では、Democracy and the Cartelization of Political Parties: Responses and Reflectionsというセッションが設けられ、立ち見が出るほど聴衆が集まったことに示されるように、世界的に注目を浴びている書物であり、世界の多くの政治学者が関心を向けているテーマでもある。 川人博著『過労自殺』第2版 岩波書店 2014年学生のみなさん、「過労自殺」や「過労死」といったニュースを、自分とは関係のない問題だと考えないで欲しい。本書を読むと、長時間労働やパワハラなどが原因で若者でも過労自殺・過労死が珍しくないことが理解できる。 内田貴著『法学の誕生 : 近代日本にとって「法」とは何であったか』筑摩書房 2018年日本は、幕末に西洋列強と締結した不平等条約の改正のために、西洋法体系の導入が不可欠であった。西洋的な法律の制定自体は外国人法律家に起草を依頼することで足りるが、それらの法律を運用し、実際の裁判で適用する専門家を養成するためには、西洋の法律が作られた背景を深く理解するとともに、日本の実情にも詳しい者による教育が必要であった。その教育を担うのが「法学」である。明治国家は、その任を穂積陳重・八束の兄弟に委ねた。 スラヴォイ・ジジェク著 ; 中山徹, 鈴木英明訳『絶望する勇気 : グローバル資本主義・原理主義・ポピュリズム』青土社 2018年原題は「The Courage of Hopelessness」。直訳すれば「希望なきことの勇気」とでもなるだろうか。スラヴォイ・ジジェクはポピュラー・カルチャーと哲学、そして精神分析と政治を合わせ縦横無尽に論じ、加えてその特異なキャラクターから「哲学界のエルヴィス・プレスリー」と呼ばれることもある思想家だ。しかし、哲学が政治的出来事にヴィヴィッドに反応することが消失している現在、あくまでも左翼を標榜しつつブレグジットからトランプ、原理主義からMeToo運動まで語る彼の姿勢は貴重である。 |