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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介図書委員からの推薦図書 2018 Vol.4ジョン・ロー著『貨幣と商業(Money and Trade considered with a proposal for supplying the nation with money)』A.M. Kelley,1966ジョン・ロー(1671-1729)は,スコットランドのエディバラに生まれる。1705年に主著『貨幣と商業』(Money and Trade)を公刊する。その後フランスにわたり,管理通貨制度を実現する一方で,バブルを引き起こす。ローは,1729年困窮のうちにベニスで亡くなる。本館は,ローの主著をはじめとして,ローと同時代の著作群,親・反ジョン・ロー文献,ミシシッピ会社に関する文献,ロー・システムに関する文献,南海会社に関する法令などを所蔵している。ここで紹介するのは彼の『貨幣と商業』初版である。この初版には2種類ある。表題頁のオーナメントあるいはヴィネットに,海岸線とその水に反射した映像になっているもの(①)と,鷹とぶどうの木が描かれているもの(②)とである。 大塚滋著『憲法改正限界論のイデオロギー性』成文堂 2017年著者は,わが国の「憲法学の主軸をなしていると見受けられる学者たちの議論」には,「まさに悪臭を放つイデオロギーが詰め込まれていた」と喝破する。学問の世界に身を置く者は,「いつまでもその言説を見て見ぬ振りをして放置してはならず,必ずや徹底的に批判し学問の世界から放逐しなければならない」との学者としての責務に根ざした著者の厳しい姿勢が示される。そんな法哲学者によるケルゼン純粋法学からのイデオロギー批判の実践の書である。 筒井健夫・村松秀樹編著『一問一答 民法(債権関係)改正』商事法務 2018年民法の債権法の部分を中心とする分野について,明治29年に制定されて以来120年ぶりに全般的な見直しがなされ,大きく改正された。この改正法は,2020年4月1日から施行されることになっており,その後はこれにより具体的事件の処理がなされるだけでなく,各種国家試験等もこれを前提に出題されることになる。そのため,その内容を早急に理解しておくことが必要であるが,今回の改正は,事務管理・不当利得・不法行為を除く債権法全体に及ぶだけでなく,民法総則の法律行為の部分や時効に関しても大きな改正がなされているため,その個々の内容の理解については種々の疑義が生じるものとなっている。本書は,簡にして要を得た形で,その改正の趣旨・内容につき立法担当者の見解を一問一答という形で説明を加えており,立法者がどのようなことを考えて立法したのかが簡単に理解できるものとなっている。民法総則や債権総論・債権各論の勉強をしている際に改正法の内容に疑問が生じたときに,立法者の見解を簡単に知ることができるものとなっており,民法を学習していく際には必ず参照すべきものである。 近藤康史著『分解するイギリス:民主主義モデルの漂流』筑摩書房 2017年近年の日本において,民主主義のモデルとして捉えられてきたイギリスのイメージは一変した。EU離脱を問う国民投票の結果,既存の二大政党による政党政治は危機的状況に陥った。しかし,著者は,イギリス政党政治の変質が国民投票以前から生じていたと論じている。 |