国際交流 見聞録

— 留学 —

オーストリア

ウィーン大学

期間
令和4年8月28日~令和6年8月8日
  • 留学
  • 国費留学
公共政策学科
小野 詩歩 さん

異文化で挑戦する自分を誇れるように

この留学を通じて「自分で自信をつけることの大変さとその大切さ」を学んだことが私とっていちばんの成果だと思います。これはポジティブな気づきで,ウィーンに行くまでは実現したいことが沢山ありましたが,実際に今までになかった環境に一人で身を置くと,クラスメイトと比較して自信を失ったり,そのうえ同じタイミングで思いもよらないハプニングが起こったりもします。しかし生活は続いていきます。こういった流れが,日本にいた時よりもウィーンでの滞在期間中は多かったように感じます。しかし,自信を失ってばかりでは何も得られないし,またできないことを繰り返してはまた次の自信につながることは難しいです。そのために,少しでも努力をしようと思いそれを積み重ねたことが,今の自分の内面に小さくも大きな変化をもたらしたと思います。アウェーな環境にいれば,そこで普通に生活をしている人の数倍の努力が必要ですが,その努力をすれば,認めてくれる人がいたことも,この気付きにつながったと考えます。

留学中のこと

留学中,特に印象に残ったことは何ですか?

良かったこと: 
「ヨーロッパ人類学」のゼミナールの授業に参加していたことが最も印象に残っています。もともと「ウィーンの公共空間」や「都市の中での人の時間の過ごし方」について興味がありましたが,自分のドイツ語力には自信がありませんでした。実際に講義の回数が進んでいくなかで,論文の精読やグループでのプレゼンテーションは,私以外は皆ドイツ語ネイティブという状況でしたが,結果周りのサポートもありゼミナール論文を執筆,成績も最高評価を受けることができました。途中,学問分野の難しさ,そして言語的にも苦しいことも多かったですが,指導教員に「あなたはよくやっているから大丈夫」「外国で学ぶ苦しさはあるかもしれないが,その苦しさこそ人類学的にはよいアドバンテージになる」と言ってもらったことを糧に努力することができたと思います。

苦労したこと:
特段差別などもなく,穏やかに生活することができたため悪かったことはそこまでなかったですが,強いてあげるならばドイツ語と英語の二言語の習得には苦労したと感じます。留学当初はドイツ語を学び,ドイツ語で授業を受けようと思っていましたが,留学生向けに配慮された授業は英語での開講科目が多く,結局ドイツ語でも英語でも授業を受講していました。しかしこれは二言語の習得を可能にするための環境としてはとても良いものだったとも言えます。

滞在中の暮らしについて教えてください。

滞在期間中に寮を変更しましたが,当初はキッチン・バス・トイレを4人で共有する寮で,自室にはクローゼットと机,ベットが備え付けでした。次に引っ越した場所は完全な一人暮らし用のアパートで,こちらも基本的な家具は備え付けてありました。

留学先での生活について

住まいについて
住居 部屋の種類 一人部屋/二人部屋
食事 自炊 ルームメイト 他国からの学生
住居手配 事前に取得していた留学先大学のオンラインプラットフォームを通じて
生活で必要な手続きについて
手続き名 概要
口座開設 滞在許可申請のためにもオーストリア国内での口座を開設する必要があったため,維持費がかからない学生口座を選択し,開設しました。(Erste Bankという銀行にて。)
携帯電話 Hoferというスーパーマーケットが販売しているSIMカードを購入し,そこからアプリ経由で月額9.9ユーロで50Mb利用できるプランを契約していました。
保険 受給していた奨学金の事務所経由で紹介してもらった健康保険に加入していました。この手続きは渡航前に終了していました。また,日本でヨーロッパ圏で適用にある万一の為に旅行保険にも加入しました。
支払方法 大学の学費は基本的に無料だがunion fee というものを支払っていて,基本的にオンラインでの送金手続きでした。学生寮の支払いについては奨学金から自動で引き落とされていました。
費用について

(円/月)

用途 金額 用途 金額
住居費 88,000 食費 30,000
通信費 1,600 交際費 30,000
語学講座費用 60,000 その他生活費 15,000
合計 224,600 円/月

留学先での授業やサポート体制について

履修科目
履修学期 履修科目/感想
2023年夏
Urban Seating
都市での『座り方』の研究

この授業は都市の公共空間において「座る」という行為から,人の「居方」を考える授業でした。ディスカッション形式で実施されたため,高度なドイツ語力や専門知識が必要とされます。プレゼンテーションもやフィールドワークなども行いましたが,その分自分の都市に対する見方が変化した,意義ある講義だったと思います。

2023年冬
Basics of Historical and Cultural Thinking
歴史と文化の思考の基礎

歴史や文化に関する研究者が実際にプレゼンテーションなどを行い,それぞれの研究などについて紹介する講義。実際の研究の発表から,現在どのような研究が進められているのか,研究手法はどのようなものかなどをオムニバス形式で紹介してもらいました。

2024年夏
Flood Management in the City of Vienna
ウィーンの洪水対策について

ドナウ川やウィーン川に実際に足を運びながら,洪水対策と合わせてウィーンの都市開発の歴史を感じる講義。ドナウ川のエリアごとにどのような整備が進められているのか,地球温暖化対策はどのように行われているのか教授や参加学生とディスカッションする事で学びを深められました。

2024年夏
Regional Development: Introduction and Case Studies
地域開発の概要と事例研究

オーストリア国内,ひいてはヨーロッパ地域内での空間整備や地域開発について事例をもとに学ぶ講義。地域ごとにどのようなルールに則ってどのような都市開発が進められているのかを具体的に,レクチャー形式で学ぶことができました。

利用した特例措置やサポート体制
  • チューター制度

留学後のこと

今後の進路は,どのように考えていますか?

今後は大学院に進学して更なる研究を進めていきたいと考えています。現在はゼミナールで都市政策について学んでおり,ウィーン大学在籍中は都市社会学や文化人類学などを通じ,都市に関する学びを深めました。将来的には都市空間や都市での時間の過ごし方に関する研究者になりたいと考えているため,その目標に向かって邁進していきたいです。

これから留学する後輩へアドバイスをお願いします!

自分の行く国や大学に実際に行った人たちに直接話を聞くと良いです。住民登録や銀行の口座開設,滞在許可証の申請など,最初で躓くとその後の学校生活で,不安になりながら授業を受け,授業にも集中できなくなるかもしれないので,学期がスタートする前に出来るだけ学校以外で必要な手続きを済ませると良いです。そのために,実際に留学に行った人に話を聞いておくとイメージがつきやすいと思います。
また,大学での授業が始まったら,語学力や自分の専門知識に自信がなく,不安になることもあると思いますが,その状況に居られる,スタート地点にいる自分に自信を持って過ごしてほしいです。わからないことがあるのは当たり前,一喜一憂すると思いますが,目の前のことをしっかりとやってわからないことはわからないということも大事です。