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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介2021 Vol.1黒沼悦郎,藤田友敬編『企業法の進路 : 江頭憲治郎先生古稀記念』有斐閣 2017年 企業を取り巻く環境は、SDGs、ESGへの取り組みの要請など、日々変化しています。本書は、商法学界第一人者である江頭憲治郎先生の古稀を祝し、江頭先生に師事した第一線の先生方による、企業法における近時の諸問題に関する研究が収められた論文集です。 テリー・イーグルトン著, 大橋洋一訳 『イデオロギーとは何か』平凡社 1996年本作品は、オックスフォード大学で長らく教鞭を執り、文芸批評の大家として世界的に知られた筆者が、啓蒙主義以来の西欧思想をイデオロギーという視点から読み直した入門書的名著である。本書の優れた点は、第一にイデオロギー論の歴史を辿るという難解な作業を、英国人らしいユーモアを交えつつ、見事な手さばきで整理して見せてくれるところにある。また、イデオロギー論にありがちな社会科学系の切り口から時に離れ、軽妙な語りで人文系の哲学者までを視野に取り込もうとする力量は、文芸批評の泰斗ならではと言えるだろう。 森村進著『自由はどこまで可能か : リバタリアニズム入門』講談社 2001年著者の新刊「法哲学はこんなに面白い」(信山社、2020年・法学部図書館に収蔵)に触れた時に本書について思い出したので紹介します。というのも、紹介者が学部学生で法哲学ゼミに所属していた際、ゼミで本書を読んで議論をしたのです。種々の問題について考える際には、ある種の極論を出発点とすることは有益な方法の一つだと思います。本書が扱う「リバタリアニズム」は、自由至上主義、とも訳されるように、経済的自由(財産権)、精神的自由、政治的自由といった個人の自由を最大限に尊重する思想です。この思想の結論は、皆さんに受け入れられ難いものかもしれません。たとえば、自己の奴隷化や自己の臓器売買の自由を認めたり、婚姻という制度を廃止する、といったものです。結論に賛成するかは別として、これらについてのリバタリアニズムの議論を見ると「なぜ自分の臓器を売ってはいけないのか」「なぜ婚姻という制度があるのか」といった、一見当然の事柄をじっくり考え直すきっかけとなります。本書を、友人と議論するための題材にすると面白いでしょう(一人でじっくり考えることも良いことはいうまでもありません)。 |