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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介2021 Vol.4『ベンサム全集』The collected works of Jeremy Bentham Athlone Press功利主義者として有名なベンサム(Jeremy Bentham. 1748-1832)は,哲学,法律,政治など多方面にわたる著作を執筆しました。ベンサムは亡くなった時,彼の著作の出版権と膨大な草稿を弟子バウリング(John Bowring. 1792-1872)に託しました。バウリングは11巻からなるベンサム全集を出版しました。しかし,11巻ではベンサムの実像をあまねく伝えることはできません。そこで現在,ベンサムによって建学されたユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)で,ベンサム・プロジェクト(Bentham Project)が推進されています。これは,大学が所蔵しているベンサムの遺稿の翻刻を行う一方で,新しいベンサム全集を出版する事業です。1968年以降,すでに34巻が公刊され,最終的には80巻を超えるものとなります。全集の中から例えば,1789年の『道徳および立法の諸原理序説』(An Introduction to the Principles of Morals and Legislation)をとり,「最大多数の最大幸福」を確認してはどうでしょう。 吉田雅之著『一問一答・平成28年刑事訴訟法等改正』商事法務 2018年平成13年に司法制度改革審議会が国民に利用しやすい司法制度を目指した提言を行って以降,刑事司法制度については,裁判員制度の導入を始めとして様々な制度が導入されてきました。さらに,検察の信頼回復を図るために設けられた「検察の在り方検討会議」の検討を受けるなどして,平成28年5月に刑事訴訟法等の一部を改正する法律が制定されました。それまでの捜査・公判が取調べ及び供述調書に過度に依存した状況にあるとの指摘を踏まえ,刑事手続を時代に即したより機能的なものとし,国民の信頼を確保するため,それまでの捜査・公判の現場には多大な影響を与える様々な制度の導入や改正がなされました。例えば,取調べの録音・録画制度の導入(義務化),証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度及び刑事免責制度の導入などです。 駒込武編『「私物化」される国公立大学(岩波ブックレット)』岩波書店 2021年文部科学省の「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律及び学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令について(通知)」(2014年8月29日付)以降,国公立の学長の任期制度の緩和・撤廃が行われ,学長選考システムも変更されました。どうも政府・自民党は,自らの意向に即した大学改革を実現するためには,学長によるトップダウンの構造が不可欠であると考えているようです。 山本敬三, 中川丈久編『法解釈の方法論:その諸相と展望』有斐閣 2021年法律学における解釈論上の争いは,各々の価値判断に左右される「水かけ論」「見解の相違」に過ぎないのではないか。法律学がどのような学問(であるべき)なのかよくわからない。そんな想いに至った学生さんに本書を薦めたいと思います。 |