• 2018.01
  • 『The Presidentialization of Political Parties: Organizations, Institutions and Leaders』
  • 『ブラックバイト:学生が危ない』
  • 『政治とマス・コミュニケーションに関する諸問題 : 黒川貢三郎教授古稀記念論文集』
  • 『わが心の京都府警』
  • 2017.12
  • 『A Practitioner`s Guide to the FCA Listing Regime(20016/2017,29th ed.) 』
  • 『世界史の構造』
  • 『18歳から考える人権』
  • 『ベアテ・シロタと日本国憲法:父と娘の物語』
  • 2017.10
  • 『Adam Smith’s Library. A Catalogue』
  • 『ヘイト・スピーチ規制の憲法学的考察:表現の自由のジレンマ』
  • 『憲法第九条』
  • 『法律学習マニュアル(第4版)』
  • 2017.07
  • 『共和国か宗教か,それとも:十九世紀フランスの光と闇』
  • 『保守主義とは何か:反フランス革命から現代日本まで』
  • 『まなざしの地獄:尽きなく生きることの社会学』
  • 『企業犯罪の理論と現実』
  • 2017.04
  • 『尖閣問題の起源 : 沖縄返還とアメリカの中立政策』
  • 『技術流出の構図 : エンジニアたちは世界へとどう動いたか』
  • 『講義刑法学・総論』
  • 2017.01
  • 『New Challenger Parties in Western Europe』
  • 『The Ancient City : A Study on the Religion, Laws, and Institutions of Greece and Rome』
  • 『比較法ハンドブック(第2版)』
  • 『国際取引法〔第4版〕』
  • 2016.12
  • 『The law and legal system of the United States』
  • 『政治学の第一歩』
  • 『「白バラ」尋問調書 : 『白バラの祈り』資料集』
  • 『多数決を疑う : 社会的選択理論とは何か』
  • 2016.10
  • 『“ 1. The Latin Emblems Indexes and Lists.”“ 2. Emblems in Translation. ”』
  • 『概説交通事故賠償法 (第3版)』
  • 『憲法概説』
  • 『世界史の一解釈』
  • 2016.07
  • 『法律用語辞典』
  • 『ロボットの脅威―人の仕事がなくなる日』
  • 『消えたイングランド王国』
  • 『正木ひろし著作集 Ⅰ~Ⅵ』
  • 2016.04
  • 『 China’s unruly journalists—how committed professionals are changing the People’s Republic 』
  • 『働く女子の運命』
  • 『 決定版 東京空襲写真集-アメリカ軍の無差別爆撃による被害記録-』
  • 『知的財産の歴史と現在-経済・技術・特許の交差する領域へ歴史からのアプローチ』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

2020 Vol.1

Richard S. Katz and Peter Mair『 Democracy and the Cartelization of Political Parties 』Oxford University Press, 2018.

カッツ(Richard S. Katz)とメア(Peter Mair)は、政党がリソースの点でも、スタッフの点でも、政党財政の点でも、以前にもまして充実してきており、政党は国家の一部になったと指摘している。彼らの言う「カルテル政党論」は、国家への政党の浸透によって特徴づけられるとともに、政党間の共謀によっても特徴づけられる。表面上、政党同士は競争相手であるが、共謀と協力を行うことにより、新しいタイプの政党モデルが発達した。本書は、カルテル政党論について、一冊の書物としてまとめられたものである。同書の刊行を受け、2019年にポーランドで開催されたECPR(European Consortium for Political Research:ヨーロッパ政治学会)年次大会では、Democracy and the Cartelization of Political Parties: Responses and Reflectionsというセッションが設けられ、立ち見が出るほど聴衆が集まったことに示されるように、世界的に注目を浴びている書物であり、世界の多くの政治学者が関心を向けているテーマでもある。
(岩崎 正洋教授/ 5F西開架)

川人博著『過労自殺』第2版 岩波書店 2014年

学生のみなさん、「過労自殺」や「過労死」といったニュースを、自分とは関係のない問題だと考えないで欲しい。本書を読むと、長時間労働やパワハラなどが原因で若者でも過労自殺・過労死が珍しくないことが理解できる。
その構成は、第1章「事例から」、第2章「特徴・原因・背景・歴史」、第3章「労災補償をめぐって」、第4章「過労自殺をなくすために」の4部からなっている。
事例では、前述の通り過労自殺が比較的若い労働者でも少なくないこと、またその職種も様々であることが紹介されている。また警察庁の「自殺統計」を示し、自殺の「原因・動機」として「勤務問題」であった場合の人は約2000人いる一方で、自殺(含・未遂)に関し労災申請をしたのは169~202件、そのうち労災と認定された件数は65~93件であることを指摘した上で、厚生労働省の労災認定件数をもって業務に因る自殺の数と見なすのは、実態と乖離するのではないかと述べる(123頁)。さらに筆者は過労自殺防止のための方策をいくつか提案しているが、その中の一つに学校教育で労働や企業の実態を教えることや学生時代に「自らを守る法律上の護身術」を身につけるために、労働法を必修科目すべきではないかとも提案している(244頁)。
誰にとっても他人事ではない「過労自殺・過労死」を避けるために、大学在学中に本書を手に取って読むことを薦めたい。
 (大山 盛義教授/5F東開架)

内田貴著『法学の誕生 : 近代日本にとって「法」とは何であったか』筑摩書房 2018年

日本は、幕末に西洋列強と締結した不平等条約の改正のために、西洋法体系の導入が不可欠であった。西洋的な法律の制定自体は外国人法律家に起草を依頼することで足りるが、それらの法律を運用し、実際の裁判で適用する専門家を養成するためには、西洋の法律が作られた背景を深く理解するとともに、日本の実情にも詳しい者による教育が必要であった。その教育を担うのが「法学」である。明治国家は、その任を穂積陳重・八束の兄弟に委ねた。
本書は、その陳重・八束の兄弟の奮迅の働きを比較的冷静な視点で記す。とはいえ、単なる伝記ではない。陳重が持ち帰った当時の西洋法学の動向を丁寧に解説するとともに、そうした西洋法学の視座から見た日本の伝統的風習に対する陳重の研究も詳細に紹介する。
西洋の法に対する理解を、文化背景の異なる日本に移植する困難さは想像を     絶する。いまや日常的に用いる「権利」という言葉に、「自分が何の拘束を受けることなく自由にふるまう法的な根拠となるモノ」という意味を、「right, droit, recht」から抽出して埋め込む作業を先人たちがなした結果、我々はこの言葉を苦もなく自分の主張のために活用することができるのだ。こうした先人たちの苦闘の上に、我々の勉強や研究が成り立っていることが、本書を通して理解できるだろう。明治期の近代化、西洋化の隠れた歴史を味わってほしい。
(髙畑 英一郎教授/4F東開架)

スラヴォイ・ジジェク著 ; 中山徹, 鈴木英明訳『絶望する勇気 : グローバル資本主義・原理主義・ポピュリズム』青土社 2018年

原題は「The Courage of Hopelessness」。直訳すれば「希望なきことの勇気」とでもなるだろうか。スラヴォイ・ジジェクはポピュラー・カルチャーと哲学、そして精神分析と政治を合わせ縦横無尽に論じ、加えてその特異なキャラクターから「哲学界のエルヴィス・プレスリー」と呼ばれることもある思想家だ。しかし、哲学が政治的出来事にヴィヴィッドに反応することが消失している現在、あくまでも左翼を標榜しつつブレグジットからトランプ、原理主義からMeToo運動まで語る彼の姿勢は貴重である。
ジジェクが主張するのは「絶望する勇気」、すなわち安易に「希望」を示す改善策や解決法に飛びつかず、物事をラディカルに考察する勇気の必要性だ。彼によると、トランプを生んだのは「リベラル―資本主義の伝統」そのものである。そこからの断絶を図ると同時に「ヨーロッパの解放論的遺産の核」を救おうとするジジェクの態度は、ヨーロッパ中心主義として批判されるものかもしれない。しかしその「普遍主義的な政治学」から何が汲み取れるのか、その再検討と実践を促すことにおいて刺激に満ちた一冊である。
(宮澤隆義准教授/3F東開架)

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