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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介2022 Vol.3梅田百合香著 『ホッブズリヴァイアサン』KADOKAWA 2022年法学部分館はホッブズの『リヴァイアサン』初版(1651年)を所蔵しています。原典は水田洋の翻訳(岩波文庫)で読むことができます。本書は,ホッブズの『リヴァイアサン』献辞,序論,第1部人間について,第2部国家について,第3部キリスト教の国家について,第4部闇の王国について),総括と結論を理解するための解説書として出版されました。ただし本書では献辞や全47章中20章が割愛されています。序論と27章の訳文抜粋とその後の解説となっており,あくまでも原典の入門書となっています。ホッブズは近代国家論の創始者といわれていますが、財政学においても彼の租税利益説(租税は国家から受ける利益の代価である)は,租税を正当化する理論として注目されています。残念ながらホッブズの租税観が登場する第30章は今回省かれています。抜粋された訳文も読みやすく、またあまり扱われない第3部と第4部も解説されていて,最後に文献案内もつけられていますので,『リヴァイアサン』初学者に本書はうってつけです。 ジェームズ・ブラッドワース著 ; 濱野大道訳 『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した : 潜入・最低賃金労働の現場』光文社 2019年現代は、ICTや様々なテクノロジーの発達によって産業構造が変化し、それに伴い就業形態も大きく変動している時代です。 ガブリエル・タルド著 ; 池田祥英, 村澤真保呂訳 『模倣の法則』河出書房新社 2007年1890年に刊行された主著の本邦初の完訳です。「忘れられた社会学者」ではもはやありません。犯罪学者・社会心理学者としても知られるフランスのこの社会学者を再評価する傾向はますます強まっています。 荒川正晴 [ほか] 編集委員 岩波講座世界歴史 岩波書店 2021年~世界史の知識は、法を学ぶうえでも欠かせません。それぞれの国の法制度には、歴史的背景があるからです。今回ご紹介する岩波講座世界歴史(第3期、全24巻)は、各分野の専門家が、最新の研究成果をもとに執筆したものです。通常の歴史書とは異なり、古代、中世、近代、現代という、通史的な観点のみでは構成されていません。「展望」「問題群」「焦点」という構成になっています。「展望」は従来のような通史を、「問題群」はその地域の歴史の中で特に問題となるテーマを、「焦点」はより個別的な論点を扱っています。最初は戸惑うかもしれませんが、とりあえず「展望」から読み進めていけば、大まかな流れはつかめると思います。また、今回のシリーズでは、グローバル・ヒストリーの観点も取り入れられ、ジェンダーやマイノリティに関する記述も盛り込まれました。地域と時代に関しても、第1期(1969年、全31巻)や第2期(1997年、全29巻)とは異なる観点から区分されています。これは2022年4月から高校で導入される「歴史総合」と足並みを揃えたものです。大部の著作ですから、すべてを読む必要はありません。まずは自分の好きな地域と時代を、一読してみてください。 |