• 2012.02
  • Media Debates: Great Issues for the Digital Age
  • The Criminal Responsibility of Senior Political and Military Leaders as Principals to International Crimes
  • 『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』
  • 『これからの「正義」の話をしようーいまを生き延びるための哲学』
  • 2011.10
  • The Changing Constitution
  • 『史学概論』
  • 『大学とは何か』
  • 2011.08
  • Debates on democratization
  • 『現代商取引法』
  • 『遺言と遺留分 第1巻 遺言 第2版』
  • 『人間・社会・法』
  • 2011.04
  • Europäisierung des Rechts, Herausgegeben von Herbert Roth
  • 『近代日本司法制度史』
  • 『要説:日本の財政・税制』
  • 『数学は言葉』
  • 2011.02
  • 『The Failure of Civil Society? The Third Sector and The State in Contemporary Japan』
  • 『マックス・ウェーバーの社会学 「経済と社会」から読み解く』
  • 『メディアと日本人』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

図書委員からの推薦図書 2011 Vol.1

小川晃弘著  『The Failure of Civil Society? The Third Sector and The State in Contemporary Japan』 (市民社会の陥穽? 現代日本におけるサードセクターと国家) 2009年ニューヨーク州立大学出版会刊

日本の現状を語るときに外国語で記述したほうが客観的に伝わるケースがある。日本語では、ありのままに書くと余りに直裁であったり、逆に細かく丁寧に書くと主旨があいまいになってしまったりする。本書は英語で書いてあるからこそ、どろどろした人間関係や組織の利害を超越した問題の本質が浮き彫りにされる。本書は文化人類学者である著者が東京の下町のNPOの実態を丹念に追ったドキュメンタリーである。NPOとそれをとりまく環境を淡々と記述していくことから始まるが、読み進むにしたがってそのNPOの運営に内在する問題点が次々と明らかになっていく。どのような問題があるのかは読んでいただく方への楽しみとして、ここでは述べないが、まさに表題「市民社会の陥穽」どおりの状況が展開されていく。英語ではあるが、大変読みやすいので学生諸君に一読をおすすめする。 
(稲葉陽二教授/6F西開架)

牧野雅彦著 『マックス・ウェーバーの社会学 「経済と社会」から読み解く』 ミネルヴァ書房

社会学の黎明期の主要人物としてデュルケームやジンメル、マルクスなどと並び称されるウェーバーは、近代の資本主義を発展させた原動力を、カルヴィニズムにおける宗教倫理から産み出された世俗内禁欲と生活合理化であると捉え、当時のマルクス主義唯物論の反証と目される『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』がよく知られているが、その著とともに彼を代表するのがこの『経済と社会』である。彼の学問の基本的立場は「歴史主義」で、具体的な歴史的事象の個性的特質とそれが形成された因果連関を解明することに主眼を置いていた。本著作はその概念整理の作業や比較分析のためのもので、そこで何か壮大な理論を展開したり、どの社会にも妥当する一般理論を提示することを意図したものではなく、未完成のままの、執筆時期の異なる草稿を遺稿として纏めたものである。このために著者も言うように、彼がそこで何を問題にしようとしていたかを読み解くのは非常に難しい。本著はその著作を近代国家の特質と形成過程で、当時の国家学・法律学の論争的文脈の中で読み解きながら、彼の社会学が何を問題にしようとしていたのかを明らかにしようとしたものである。具体的には、彼の社会学理論を詳述しながらドイツの国家学や法律学にも言及して、ドイツ政治史・法制史の議論を丹念に考察し、そのなかにウェーバーを位置づけていくという手法をとっている。その意味で本著は、社会学のみならず法制史や法思想史に関心ある読者にも興味を引く1冊といえる。 
(池田勝徳教授/5F東開架)

橋元良明著  『メディアと日本人』 岩波新書

3月の大震災およびその後の福島原発事故に際して、マスメディアおよび他のメディアの在り様が大きく問われています。もちろんそれ以前から、日本のメディア状況については様々な議論と新たな方向の模索が問い直されてきました。インターネットに代表される諸個人、組織が自由に繋がるIT技術を駆使したメディアの出現は既存のメディアを脅かすという意味だけでなく人々の生活、情報行動そのものを根源的に変化させる可能性を秘めています。この状況は日本に特有な現象ではないし、発展途上国も含めた多くの国に共通にみられるものです。むしろ、インターネット利用による情報活動はマス・メディアの成長・発展が不十分な国の方が意義を持っているようです。
こうしたメディア状況の中で、本書は著者が「日本人の情報行動」について、自らの実証的調査の成果をもとに、大きく変貌しつつある日本のメディア環境を初学者に分かり易く分析し説明したものです。第1章の日本のマス・メディアの歴史を略述した後の章は、まさに著者の調査データとその解析の面白さが煌めいています。これまでのメディアへの偏見、誤解が覆されています。そして、その背後にある日本人のメディアに対する意識に着目した説明を行っています。新書ですから入手し易く読み易く書かれていますが内容は非常に高品質のものです。 
(小川浩一教授/3F東開架 )

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