• 2014.01
  • 『Collected papers on English legal history』
  • 『国家貴族Ⅰ,Ⅱ-エリート教育と支配階級の再生産―』
  • 『園部逸夫オーラル・ヒストリー:タテ社会をヨコに生きて』
  • 2013.12
  • 『“Kieler Fakultät und“Kieler Schule”: die Rechtslehrer an der Rechts- und Staatswissenschaftlichen Fakultät zu Kiel in der Zeit des Nationalsozialismus und ihre Entnazifizierung”』
  • 『会社法重要判例』
  • 『ヒゲの日本近現代史』
  • 『“The Theory of Moral Sentiments”』
  • 2013.10
  • 『典型担保法の諸相』
  • 『これからはじめる統計学』
  • 『階級「断絶」社会アメリカー新上流と新下流の出現』
  • 2013.07
  • Building Resilience Social capital in post-disaster recovery
  • 『犯罪統計入門〔第2版〕犯罪を科学する方法』
  • Patterns of Democracy: Government Forms and Performance in Thirty-Six Countries, 2nd ed.
  • 『イギリス政治史話』
  • 2013.04
  • 『政治哲学へ:現代フランスとの対話』
  • Journalism & Mass Communication Quarterly
  • 『スターリンのジェノサイド』
  • 2012.12
  • Internationales Zivilprozessrecht
  • 『改訂新版 思想史のなかの科学』
  • Maines Ancient Law,[ with introduction and notes by ]Pollock
  • 『フランス女性はなぜ結婚しないで子どもを産むのか』
  • 2012.10
  • Festschrift für Eduard Picker zum 70. Geburtstag
  • 『支払決済の法としくみ』
  • An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations
  • 『裁判官はなぜ誤るのか』
  • 2012.08
  • Building the UK’s new Supreme Court: national and comparative perspectives
  • 『日本の税制』
  • Determinants of democratization :explaining regime change in the world,1972-2006
  • 『人生の科学:「無意識」があなたの一生を決める』
  • 2012.04
  • A Paradise Built in Hell: the extraordinary communities that arise in disaster
  • 『日本公的年金政策史―1875~2009』
  • 『英語の多読に挑戦しよう』
  • 『天下無敵のメディア人間:喧嘩ジャーナリスト・野依秀市』
  • 2012.02
  • Media Debates: Great Issues for the Digital Age
  • The Criminal Responsibility of Senior Political and Military Leaders as Principals to International Crimes
  • 『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』
  • 『これからの「正義」の話をしようーいまを生き延びるための哲学』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

図書委員からの推薦図書 2012 Vol.1

Everette E. Dennis & John C. Merrill 著 『Media Debates: Great Issues for the Digital Age』Wadsworth Pub 2005

同書は英語圏の大学高学年向けのジャーナリズム規範を考える専門テキストである。内容は,ジャーナリズムの在り方について普遍的な20の争点をめぐり,著名なふたりのジャーナリズム研究者が紙上でディベートを繰り広げる,というもの。デジタル化によって刻々と変わるジャーナリズムの先端に即し,すでに4版を数える。そろそろ5版が出てくるかもしれない。英語圏では著名な大学教材のひとつである。例えば,第一章は言論の自由がテーマである。言論の自由は他の自由に優先される根源的なもの,という主張と,限定的かつ相対的なものだという主張が,さまざまな判例とともにぶつかり合う。どちらも説得力がある。扱うテーマは,いずれも単純な正解がなく,ジャーナリズムをめぐる思考回路を鍛える構成となっている。  著者のひとりは,エベレット E.デニス。長年,米国のジャーナリズムの現場をつぶさに見て歩いている業界の重鎮である。もう一人の著者は,ジョン C.メリル。学究一筋で,理論や研究方法論等を含め実に著作が多い。教科書づくりの第一人者だ。実務面から理論面まで幅広く展開される論旨や話術も,興味深い。 (別府三奈子准教授/6F西開架)

Héctor Olásolo 著 『The Criminal Responsibility of Senior Political and Military Leaders as Principals to International Crimes』 Oxford:Hart 2010

国際法の主体は伝統的に国家であり,個人が国際法により処罰されることはなかった。しかし,第二次世界大戦後,戦争犯罪をはじめとする重大な国際法違反を行なった個人を国際法によって処罰する動きが生じた。そして,とくに2003年に常設の国際刑事裁判所が開設されたことにより,国際法の重大な違反行為に対して個人責任を追及する国際刑事法が国際法の重要なテーマとなるに至った。  本書は,このように発展した国際刑事法における,国際法違反行為を命令した政治および軍事の指導者の責任の追及について論じている。たとえば,戦争において非軍事目標を攻撃する命令を指導者が下したとしても,その命令を実行するのは軍人であり,責任を問われるのも当該軍人であることが多い。また,指導者の責任が問われたとしても,その被害と比較すると軽微な刑罰が科されるにとどまる可能性が高い。著者は,このような状況について,国内法から発生した「犯罪の支配(control of crime)」や「犯罪共同体(joint criminal enterprise)」という概念が国際刑事法において取り入れられ,政治および軍事の指導者を訴追する重要な法的根拠になってきていると主張する。 本書は,近年大きく発展した国際刑事法について学ぶうえで必要不可欠な一冊である。 (喜多義人准教授/6F西開架)

稲葉陽二 著 『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』 中公新書 2011

年の流行語大賞の一つは「きずな」であった。東日本大震災の折に見せた被災者たちの「お互いさま」精神の表象であったことは言うまでもない。きずなが拡がり,深み行けばそこには共通の信頼関係が出来ようし,それの蓄積が出来ればそれは立派な社会的共通財になる。この社会的共通財の規範理論が「ソーシャル・キャピタル」論である。 
本書ではこのソーシャル・キャピタルについて,具体的な事例をあげながら,さまざまな論者たちの議論を首尾よく整理して,それの大枠を示した格好の書である。多くの図表を取り入れて説明されているのも嬉しい。「砂のような大衆」,「孤独な群衆」などの用語を駆使して議論された1960年代大衆社会論の,21世紀的パラダイム転換とも言えよう。社会科学の専門分化が著しい今日,本書は政治経済学分野のみならず,あらゆる社会科学の共通する課題でもある。格差社会が喧伝され,ユーロ危機が迫る昨今,「市場」と「社会(お互いさま=きずな)」・「国家」の関係を再考するためにも是非一読をお勧めしたい。この書をお読みになったら,マルセル・モース『互酬性論』(1924年),カール・ポランニー『大転換』(1944年)へと読み継いでいけば,本書の価値の歴史的意味が理解できよう。人間活動が織りなす社会への提言は,時代を経てより新たな提言へと昇華されるのである。
(藤原孝教授/5F東開架)

マイケル・サンデル 著,鬼澤忍 訳 『これからの「正義」の話をしようーいまを生き延びるための哲学』 早川書房 2010

著はサンデルが長く大学で行なってきた講義をベースとして書き上げられたものである。その講義は本著が出版される直前にNHKの教育番組で「ハーバード白熱教室」というタイトルで放送され,実に名講義であったことから大変な話題を呼び,本著は政治学関係者をはるかに超えた多数の一般読者を得ることとなった。しかし,本著が正義という厄介なテーマを扱う政治哲学の著作であるにもかかわらず,これ程広く読まれた最大の秘密は,テキストとして画期的な工夫がなされていたからである。それは,正義の問題に関して原理原則から抽象的に論じたり,大思想家の主張を歴史的に解説したりするのではなく,訴訟事件のような現実に発生した問題を巧みに取り上げ,それを多様な視点から論じていく過程で,現在の政治哲学の主要な考え方を説明していくという,その卓抜な方法である。時に読者の度肝を抜くような刺激的問題が提示されて,それらの諸問題をめぐり,最大多数の最大幸福を目指す功利主義的立場,自由主義的立場―これには自由を強調する立場と平等をも加味しようとする立場とがある―,目的を重視し美徳の涵養を目指す立場,更にサンデル自身が与する共同体を重視する立場それぞれからの主張が解説されるが,結局それらの何れも実は最終的解答たり得ないことが指摘され,読者自身を果てしなき思考へと誘うという見事な構成になっている。
(奥村大作教授/4F東開架)

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