• 2012.02
  • Media Debates: Great Issues for the Digital Age
  • The Criminal Responsibility of Senior Political and Military Leaders as Principals to International Crimes
  • 『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』
  • 『これからの「正義」の話をしようーいまを生き延びるための哲学』
  • 2011.10
  • The Changing Constitution
  • 『史学概論』
  • 『大学とは何か』
  • 2011.08
  • Debates on democratization
  • 『現代商取引法』
  • 『遺言と遺留分 第1巻 遺言 第2版』
  • 『人間・社会・法』
  • 2011.04
  • Europäisierung des Rechts, Herausgegeben von Herbert Roth
  • 『近代日本司法制度史』
  • 『要説:日本の財政・税制』
  • 『数学は言葉』
  • 2011.02
  • 『The Failure of Civil Society? The Third Sector and The State in Contemporary Japan』
  • 『マックス・ウェーバーの社会学 「経済と社会」から読み解く』
  • 『メディアと日本人』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

図書委員からの推薦図書 2011 Vol.3

Larry Diamond, Marc F. Plattner, Philip J. Costopoulos 編 『Debates on democratization』 Johns Hopkins University Press 2010

本書は、1990年代前半からジョンズ・ホプキンス大学出版より刊行されている「民主化(democratization)」に関するシリーズの一冊である。本書は、同シリーズの代表者ともいえるLarry DiamondとMarc F. Plattnerに加え、民主化研究の分野で中心的な位置を占めるJournal of Democracy誌のPhilip J. Costopoulosの三人が編者となり、民主化研究の主要な論点を幅広く取り扱っている。 目次を一瞥すると、民主主義の定着、体制移行、民主化の段階、民主化の代表的な事例、大統領制などに関して、さまざまな議論がとり上げられている。例えば、民主化研究における必須の議論ともいえるJuan J. LinzとAlfred Stepanによる民主主義の定着に関する論考をはじめ、Guillermo O’Donnellによる移行論や民主主義の定着に関する論考が掲載されており、内容的にも充実している。 他にも、Francis FukuyamaやSeymour Martin Lipsetなどの論考も含まれており、民主化研究だけでなく、政治学ないし比較政治学、さらには、国際政治学を専攻する者にとっても一読に値する書物であると思われる。また、本書以外にも同シリーズは、政治学および比較政治学の最新の議論を把握するには有用であり、同シリーズの他の書物も併せて推薦しておきたい。 
(岩崎正洋教授/6F東開架)

藤田勝利=工藤 聡一 編 『現代商取引法』 弘文堂 2011

われわれの生活は企業と密接にかかわっている。必要な物資は企業によって生み出され、運ばれ、売られている。企業で働く人が多いこともあり、現代社会が「企業社会」といわれるのもうなずける。さて、企業に関する法律としてまず頭に浮かぶのは商法であるが、そのエッセンスを知る好適書が、藤田勝利(近畿大学教授)=工藤聡一(本学教授)編の本書である。
本書の特徴は何と言っても叙述・構成が丁寧なことである。初学者の独習を念頭に置き、根拠条文を丁寧に引きつつ、判例・通説に従い商法を平易に解説している。さらには道標として、章頭に全体像を俯瞰する「アウトライン」、節頭に視点・視座を提供する「ポイント」、節尾に到達度の目安を提示する「エクササイズ」を配置しているほか、発展的事項クを「コラム」で掘り下げ、読者の知識欲を刺激するアクセントとしている。実際の企業活動に携わった経験がないなかで商法を学ぶのには困難を伴うが、こうした工夫が悩める学徒の一助になるのは疑いないであろう。
なお本書は、本学専任教員が編者となり各教科・分野の新スタンダードを堂々提案する、「Next教科書シリーズ」の一冊であり、今後も続刊が予定されている。それらのラインナップからも目が離せないところである。
(大久保拓也教授/4F西開架)

編集代表 久貴 忠彦 『遺言と遺留分 第1巻 遺言 第2版』 日本評論社 2010

本書はほぼ10年まえに出されたものに、その後の判例・学説の動向をふまえ大幅の補訂をなすとともに。新たに「後継ぎ遺贈なるもの」という論文を加え第2版として出版されたものである。かつては相続法の議論は法定相続を中心としたものであったが、現在では自己の死後における財産の処理を遺言によりなそうとする者が多くなり、法定相続は遺言がない場合の補充的なものではないかとも言われるようになっている。その遺言の実態及び問題点につき、①遺言能力、②遺言の実態と遺言というものの考え方、③遺言の撤回と遺言の解釈、④遺言の執行、⑤遺言の破棄・隠匿の5章にわけそれぞれ最新の論文が書かれている。簡単に見ても興味を引くのは、高齢者による遺言の関係からは「遺言能力に関する諸問題」「実務から見た高齢者の遺言と『遺言能力』」、相続させる旨の遺言との関係では「『相続させる』旨の遺言の実務上の問題点」「相続させる」旨の遺言の功罪」「包括遺贈」の各論文である。本書は、将来必ず考えなければならなくなる遺言について現在の議論状況を知るものとして格好のものである。なお、「遺言と遺留分 第2巻 遺留分 第2版」も読んでいただきたい。
(益井公司教授/4F西開架)

星野英一著 『人間・社会・法』 創文社 2009

民法の第一人者の一人である星野英一による『人間・社会・法』(創文社)を紹介したい。この本は、主に法律の初学者向けに書かれたもので、法律の基礎的な考え方や社会における役割、各種法律の内容・目的、さらに社会の転換に伴いどのように法が変化したかなどが非常に平明に解説されている。そのため、特に法律の勉強を始めたばかりの一年生には、法律を学ぶ意義を知ることができるだけでなく、現在「法学」等の講義で学習中の法のシステムがきれいに整理されて理解ができるようになると思われる。 それだけでなく著者は、「法学」などの講義ではあまり学ぶことのないと思われる事柄にまで言及する。例えば日本人の「法律嫌い」について触れた箇所では、「法」と「法律」を区別すべきとしたうえで、「法」は法律よりも広い意味での社会規範で、法律や慣習などの規範につき、それを批判したり、それを根拠づけ、基礎づける原理であり、「法律」は正当な立法権・立法機関が制定した規範であると定義づけ、ルール・規範を比較的よく守る日本人は「法律嫌い」であっても、決して「法嫌い」ではないと指摘する。このように法律の基礎的科目を終えた二年生以上の学生にも有用な記述も多く、是非一読されることを薦めたい書籍である。
(中村進教授/4F東開架)

このページのトップへ戻る