• 2017.12
  • 『A Practitioner`s Guide to the FCA Listing Regime(20016/2017,29th ed.) 』
  • 『世界史の構造』
  • 『18歳から考える人権』
  • 『ベアテ・シロタと日本国憲法:父と娘の物語』
  • 2017.10
  • 『Adam Smith’s Library. A Catalogue』
  • 『ヘイト・スピーチ規制の憲法学的考察:表現の自由のジレンマ』
  • 『憲法第九条』
  • 『法律学習マニュアル(第4版)』
  • 2017.07
  • 『共和国か宗教か,それとも:十九世紀フランスの光と闇』
  • 『保守主義とは何か:反フランス革命から現代日本まで』
  • 『まなざしの地獄:尽きなく生きることの社会学』
  • 『企業犯罪の理論と現実』
  • 2017.04
  • 『尖閣問題の起源 : 沖縄返還とアメリカの中立政策』
  • 『技術流出の構図 : エンジニアたちは世界へとどう動いたか』
  • 『講義刑法学・総論』
  • 2017.01
  • 『New Challenger Parties in Western Europe』
  • 『The Ancient City : A Study on the Religion, Laws, and Institutions of Greece and Rome』
  • 『比較法ハンドブック(第2版)』
  • 『国際取引法〔第4版〕』
  • 2016.12
  • 『The law and legal system of the United States』
  • 『政治学の第一歩』
  • 『「白バラ」尋問調書 : 『白バラの祈り』資料集』
  • 『多数決を疑う : 社会的選択理論とは何か』
  • 2016.10
  • 『“ 1. The Latin Emblems Indexes and Lists.”“ 2. Emblems in Translation. ”』
  • 『概説交通事故賠償法 (第3版)』
  • 『憲法概説』
  • 『世界史の一解釈』
  • 2016.07
  • 『法律用語辞典』
  • 『ロボットの脅威―人の仕事がなくなる日』
  • 『消えたイングランド王国』
  • 『正木ひろし著作集 Ⅰ~Ⅵ』
  • 2016.04
  • 『 China’s unruly journalists—how committed professionals are changing the People’s Republic 』
  • 『働く女子の運命』
  • 『 決定版 東京空襲写真集-アメリカ軍の無差別爆撃による被害記録-』
  • 『知的財産の歴史と現在-経済・技術・特許の交差する領域へ歴史からのアプローチ』
  • 2016.01
  • 『 England`s Treasure by Forraign Trade 』
  • 『 Prozessrecht und materielles Recht 』
  • 『聞き書緒方貞子回顧録』
  • 『はじめてのEU法』

TOP推薦図書紹介

推薦図書紹介

図書委員からの推薦図書 2017 Vol.5

『A Practitioner`s Guide to the FCA Listing Regime(20016/2017,29th ed.) 』Sweet & Maxwell 2016

英国では,2008年リーマン金融危機後に2012年金融サービス法(Financial Services Act 2012)が成立し,2013年4月新たな金融監督体制が発足している。従来は金融サ-ビス機構(FSA Financial Services Authority)による金融機関監督が行われたが,ツインピ-クス体制に分割されている。即ち,金融安定を目的とする規制機関と消費者・投資家保護の規制や市場規制の機関を分離し,前者はBOE(Bank of England),後者を金融行為規制機構(Financial Conduct Authority FCA)が担当する。BOEではマクロ・プルーデンス政策を担当する金融政策委員会(Financial Policy Committee FPC),ミクロ・プルーデンス規制を担当する健全性規制機構(Prudential Regulation Authority PRA)が設置された。FCAは,金融サービスの効率性向上等により金融システムへの信認強化を図ること,適度な消費者保護の確保,金融システムの統合性(integrity)の強化等を目的とする。
本書は,2013年から金融サービス機構(FSA)に替わりロンドン証券取引所(LSE)上場の監督業務を引き継ぐことになった英国FCAの上場,目論見書,開示,透明性などに関する上場規則ガイドであり,FCAの主要市場政策チ-ムが取りまとめている。主な内容はFCAの上場規則,上場の仕組み,財務情報,透明性規則,上場停止,エンフォ-スメントなど詳細に亘っており,実務面を含め大変参考になる。
(藤川 信夫教授/6F西開架)

柄谷行人著『世界史の構造』岩波書店 2010年

極めて大掛かりなタイトルの本だが,ここには著者の危機意識が現れている。歴史の理念なき現在,「世界史」とは,詰まるところ力と資本の支配する舞台にすぎないのだろうか。著者はこのような見方に対し,むしろ力と資本がどのような構造において発生するのかを問う。この視点の取り方,言い換えれば抽象力にこそ,いま学ぶべきものがある。
まず柄谷は,歴史を見る際の視点を労働や生産からではなく,人々の間や,人間と自然との間で引き起こされる交換に着目する。交換の様式からこそ,「世界史の構造」を見るべきだと主張するのである。そして三つの交換様式,すなわち「ミニ世界システム」・「世界=帝国」・「近代世界システム」を提唱することで,互酬性(共同体/ネーション)・収奪と再分配(国家)・世界経済(資本)の連関について解き明かそうとするのだ。
だが著者は,上記三つの交換様式に対して,これらを超えた交換様式が存在しうることを最も重視している。この意味で,『世界史の構造』は,その構造の外部を指し示すためにこそ書かれている本なのである。この理論をどう評価するか,本書に対する本格的な吟味は,これからの時代において必須の作業であろう。
(宮澤 隆義専任講師/4F東開架)

宍戸常寿編『18歳から考える人権』法律文化社 2015年

本当はダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を紹介しようと思ったのだが,法学部図書館には収蔵がないようだ。そこで,本書を紹介することにした。なぜ?と思われるかもしれないが,つながりは後ほど。
本書は,初学者向けに書かれた憲法学の本である。憲法学は自分たちの生活とかけ離れた印象を持たれるため,「食わず嫌い」になりやすい。本書は,できるだけ具体的な事例から人権問題を考えるという発想で書かれた本である。例えば「自分の髪型を自分で決めてはいけないのですか?」(自己決定権)や「『お前らなんかいなくなれ』と叫んでもいいですか?」(ヘイト・スピーチ)など,素朴な問いかけから人権問題が語られている。身近な例から憲法学の議論へと進むための入り口として,初学者にもとっつきやすいだろう。もちろん,一度,憲法学に挫折した人にも,再入門にオススメである。
この中に「遺伝子研究で人の運命を変えることはできますか?」という章がある。ここでは『アルジャーノン』の話を下敷きにして,先端科学研究に対する規制の問題が論じられる。『アルジャーノン』を読んだことがある人もない人も,一読してもらえると嬉しい。ちなみにこの章の執筆者は私である。
(玉蟲 由樹教授/4F西開架)

ナスリーン・アジミ,ミッシェル・ワッセルマン著 小泉直子訳『ベアテ・シロタと日本国憲法:父と娘の物語』岩波書店(岩波ブックレット) 2014年

書かれている内容とは不釣合いなほど,小さな薄い冊子である。数奇な運命により日本国憲法の男女平等を書いた女性の物語である。白ロシア出身のユダヤ系ピアニスト、レオ・シロタとオーストリア人の母の間にウィーンで生まれ、ナチス時代の迫害を逃れて日本へやってきて東京で育った。第二次世界大戦中,日本に両親を残してアメリカの大学へ進学し,そこで終戦を迎える。両親に再会したい一心で,GHQに職を求め,彼女は日本へ戻った。そこで思いもしなかったミッションを託される。
わが国憲法の男女平等がこのような稀有な状況で,日本を愛するユダヤ系女性の手によって書かれたことをこの本で初めて知り,ある複雑な感銘を受けた。
『1945年のクリスマス -日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝』(ベアテ・シロタ・ゴードン(著),平岡麿紀子(構成・文),柏書房)と,『日本を愛したユダヤ人ピアニスト レオ・シロタ』(山本 尚志(著),毎日新聞社)の2冊も合わせてお読みになることをお勧めいたします。
(真道 杉准教授/3F東開架)

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