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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介図書委員からの推薦図書 2016 Vol.2Jonathan Hassid 著 『 China’s unruly journalists—how committed professionals are changing the People’s Republic 』 Routledge, 2016年 本書は,学術専門書出版の世界的大手ラウトレッジの,140巻におよぶ現代中国研究シリーズの1冊である。著者のジョナサン・ハシッドは,米国アイオワ州立大学政治学科の准教授で,現代中国のニュースメディアに関して、多くの調査論文を執筆している。 濱口桂一郎 著 『働く女子の運命』 文春新書 2015年 1986年に均等法が施行されて30年が経過するにもかかわらず,なぜ,日本において,男女間の賃金格差が甚だしく,そして管理職に女性が少ないのか・・・という疑問に,スパッと答えてくれる本である。筆者は,旧労働省出身で,現在労働政策研究・研修機構の主席統括研究員をしているが,「hamachan」ブログ(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/)で,積極的に労働政策に関して社会に発信している。 早乙女勝元監修・東京大空襲・戦災資料センター 編 『 決定版 東京空襲写真集-アメリカ軍の無差別爆撃による被害記録-』 勉誠出版 2014年 第2次世界大戦中,東京は100回以上の空襲を受け,3月10日深夜の大空襲では死者8万3793人,負傷者4万918人,焼失家屋26万7171戸(警視庁調べ)を出した。米軍は軍需工場と民家が混在する地域全体を爆撃する目標区域爆撃や戦意喪失を狙った市街地への爆撃を実施したが,こうした無差別爆撃は明らかに国際法に違反する。 石井正 著 『知的財産の歴史と現在-経済・技術・特許の交差する領域へ歴史からのアプローチ』 発明協会 2005年 知的財産に係る独占排他的権利を法的に作りだし,その創造者に与える知的財産の制度は,知的財産を生み出し得る一定の経済的社会的水準,つまり文化的な土壌がその社会に存在しなければ,無意味です。本書は,日本,及び,日本に先だって知的財産を制度化した欧米諸国において,なぜ知的財産制度が必要とされたのか,制度の誕生に関わる文化的,技術的な背景を平易に説き明かしており,文化史,技術史としても興味深く読めることでしょう。また,ある対象が知的財産として保護されるに至ると(例えば微生物に対する特許権による保護),どのような社会的経済的な影響を及ぼすのかについても今日私たちが恩恵にあずかっている豊富な具体例を織り交ぜて紹介しています。さらに,知的財産の保護強化(いわゆるプロパテント)が1980年代以降に世界的に広がり,日本でも政策化されている下で,知的財産は真に文化の発達や産業の発展に資するものとなっているのかという問いかけが続いていますが,この問いかけは知的財産制度の誕生以来の永続的な命題であることも示されます。一つの法制度を理解する上での手法を学ぶ意味でも,以上のような本書のアプローチは参考になるものと考えます。 |