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TOP推薦図書紹介 推薦図書紹介図書委員からの推薦図書 2018 Vol.2岩井奉信著 『立法過程』 東京大学出版会 1988年本書の初版の出版は1988年である。そう聞くと,ずいぶん古い本だな,という印象を受けるかもしれない。確かに,現在の日本政治に関する説明は本書には出てこない。しかし本書は,日本政治を研究する上で避けて通ることのできない「古典的名著」なのである。 小松一郎著 『実践国際法(第2版)』 信山社 2015年本書は,本文505頁の大著であるが,国際法の体系書ではない。著者の小松一郎氏は外交官で,本省勤務の大半を国際法局(旧条約局)で過ごした。国際法に関する論文も多い。国際法局長や駐仏大使を歴任したあと,集団的自衛権の行使容認に積極的であったことから2013年8月,安倍晋三首相の意向で内閣法制局長官に起用された。しかし,翌年5月,体調不良により退任し,その約1カ月後に逝去した。本書の第1版は2011年,小松氏が駐仏大使在任中に刊行された。死後,国際法局の後輩外交官たちが,事実関係の変化や新たな問題を加えて改訂したのが第2版である。 太田達也著 『刑の一部執行猶予:犯罪者の改善更生と再犯防止』 慶應義塾大学出版会 2014年刑事法の目指すところは,犯罪予防である。具体的には,犯罪者が再び犯罪を犯さないようにすること(特別予防)と,犯罪者以外の国民(潜在的犯罪者を含む)に対し犯罪行為の禁止を求めること(一般予防)である。しかし,その現実は厳しい。刑務所を満期で出所した人が再び刑務所に収容される率は,約6割である。まさに犯罪のスパイラルに陥っている人が少なくないのである。刑務所に収容すれば万全である,と刑事法を知らない普通の人々はそう考える。しかし,現実はその楽観を裏切っている。 角田政芳,関真也著 『ファッションロー』 勁草書房 2017年ファッションローは,ファッションショーからファッションデザイン,ファッションブランド,ファッションモデル,さらにコスプレに至る幅広い保護対象について,著作権及び著作隣接権を中心にしながら,意匠権,商標権等の産業財産権,不正競争防止法等の知的財産法,さらに契約法等のビジネス法領域からもアプローチを試みる,近年,世界で法学的にも実務上も関心及びニーズが高まっている分野である。ファッション分野における知的財産は,ライフサイクルが短く,かつ模倣が日常的である点に特徴があり,今や幅広い年齢層に受容されているファストファッション産業の興隆も,それら知的財産に負うところが大きい。このため,適切な保護の必要性は高まっているところ,本書は三百頁を費やして,日本,ドイツ及び米国の判例法令を含めて検討した,「わが国で初めてファッションローを体系的に解説した著書」(「はじめに」より)である。また,ファッションモデルやコスプレに関して独立の章を設けて,当事者へのインタビュー等を通じて実情を踏まえた検討を試みている点でも,ユニークである。身近な産業分野に関する知財法上の論点や,知財法領域の広がりを知る上で,手に取ってみていただきたい。 |