本年は，社会思想家として有名なサン=シモンの没後200年の年となっています。フランスのパリでは，5月10日から10月29日まで，展覧会「オーギュスト・コントとサン=シモン」がMaison d’Auguste Comteにおいて開催されています。また彼の命日5月19日に先立つ16日，17日の両日にサン=シモン・シンポジウムも開催されました。このシンポジウムの主催者の一人でもあるミュソ先生が本年，サン=シモンの『書簡集』を公刊されました。ミュソ先生は，サン=シモン研究の第一人者です。先生は，フランスはもとより外国で所蔵されているサン=シモンの書簡を調査され，文面を翻刻されました。もちろん，法学部が所蔵しているサン=シモン・コレクションに含まれている彼の自筆書簡も『書簡集』に収録されています。サン=シモンの思想は，公刊された著作だけではなく，彼の周辺にいた人物たちに宛てられた書簡をあわせて研究することが必要になります。彼が経済的苦境に陥っていた時期の書簡も含まれており，この書簡集はサン=シモンの二次的資料として非常に重要なものとなっています。

（川又祐教授／1F新着図書コーナー　S-S||445）　　　　　　　※赤字をクリックでOPACにつながります