推薦図書
『ジェンダー・トラブル : フェミニズムとアイデンティティの攪乱』
- 著者名 : ジュディス・バトラー著;竹村和子訳
- 出版社 : 青土社
- 出版年 : 2018年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2025 Vol.2
フェミニズム,クィア理論に関心のある方なら食指が動きつつもその韜晦さに及び腰になるかもしれません。まずありがたい入門書(藤高和輝,『バトラー入門』,筑摩書房,2024年)で士気を高め,ややこしい構文・表現は原書を参照しながら読み解き,それはそれは寛大な心持ちで読み進めてゆくというありきたりな方法が思いつくばかりです。
二つのセックス(生物学的性別)しかないわけではありません。人においては本性(=自然)よりも経験(=文化)が物を言います。川を超えると言語も民族も宗教も変わることがあります。ジェンダー(社会的性別)は完全にセックスによって決定されているわけでもありません。セックスに応じて二つというわけでもありません。セクシュアリティあるいは性指向を絡める必要もあります。異性愛だけが性愛というわけでもありません。欲望に支えられた私達の性的アイデンティは人の数だけ(あるいはもっと)あるのかもしれません。
「人は女として生まれるのではない,女になるのだ」。ボーヴォワールの実存主義的社会構築主義はバトラーによってポスト構造主義的に変容されます。バトラーによれば,ジェンダーこそがセックスを生み出します。相互に愛すべく定められた男女という目的論化された本質そのものが,行為遂行性の理論から批判の俎上に載せられます。
(吉澤保准教授/5F東開架 367.1||B 96) ※赤字をクリックでOPACにつながります
二つのセックス(生物学的性別)しかないわけではありません。人においては本性(=自然)よりも経験(=文化)が物を言います。川を超えると言語も民族も宗教も変わることがあります。ジェンダー(社会的性別)は完全にセックスによって決定されているわけでもありません。セックスに応じて二つというわけでもありません。セクシュアリティあるいは性指向を絡める必要もあります。異性愛だけが性愛というわけでもありません。欲望に支えられた私達の性的アイデンティは人の数だけ(あるいはもっと)あるのかもしれません。
「人は女として生まれるのではない,女になるのだ」。ボーヴォワールの実存主義的社会構築主義はバトラーによってポスト構造主義的に変容されます。バトラーによれば,ジェンダーこそがセックスを生み出します。相互に愛すべく定められた男女という目的論化された本質そのものが,行為遂行性の理論から批判の俎上に載せられます。
(吉澤保准教授/5F東開架 367.1||B 96) ※赤字をクリックでOPACにつながります