推薦図書
『刑事法をめぐる被害に向き合おう! : 被害者・加害者を超えて』
- 著者名 : 阿部恭子,岡田行雄
- 出版社 : 現代人文社
- 出版年 : 2024年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2025 Vol.1
刑事事件をめぐって「被害」という言葉を耳にするとき,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?殺人事件であれば殺された被害者,窃盗事件であれば盗まれた物を思い浮かべるのではないでしょうか。もちろん,それらは事件によって生じた被害であり,本書でもそういった被害に言及されています。しかし,本書で特徴的なのは,加害者側も含め,実際に生じた損害のみならず,広く被った害を扱っている点なのです。
犯罪によって家計を支える者が殺された場合における残された遺族の生活の困窮,冤罪被害者の長期にわたる身体拘束といった被害から,加害者の家族が追い詰められて死に至ったという被害,さらには,加害者が犯罪に至るまでの被害といいうる環境などが,本書では扱われます。皆さんは,加害者については「被害?」と思うかもしれません。確かにもっともな感想です。本書の記述には,私も同意できない箇所が多々あります。しかし,賛成できるかはともかく現状を知る必要はあるでしょう。犯罪者に「重い刑罰を科して終わり」では何も解決しません。犯罪を減らし,よりよい社会にしていくためには,知ることが第一歩なのです。
(南由介教授/1F新着図書コーナー 326.3||A 12.1) ※赤字をクリックでOPACにつながります
犯罪によって家計を支える者が殺された場合における残された遺族の生活の困窮,冤罪被害者の長期にわたる身体拘束といった被害から,加害者の家族が追い詰められて死に至ったという被害,さらには,加害者が犯罪に至るまでの被害といいうる環境などが,本書では扱われます。皆さんは,加害者については「被害?」と思うかもしれません。確かにもっともな感想です。本書の記述には,私も同意できない箇所が多々あります。しかし,賛成できるかはともかく現状を知る必要はあるでしょう。犯罪者に「重い刑罰を科して終わり」では何も解決しません。犯罪を減らし,よりよい社会にしていくためには,知ることが第一歩なのです。
(南由介教授/1F新着図書コーナー 326.3||A 12.1) ※赤字をクリックでOPACにつながります