推薦図書

『コーヒー・ハウス : 18世紀ロンドン,都市の生活史』

  • 著者名 : 小林章夫 著
  • 出版社 : 講談社学術文庫
  • 出版年 : 2000年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2019 Vol.5
近頃本当にせわしない。仕事の道具も学修のツールも便利になってきているはずなのに,なぜか余計なところに時間がかかって大事なところになかなかとたどり着けていない気もする。
そんな中で図書館の中をうろついていて目に止まった一冊がこれである。折しも1年生のワールド・カフェの後。本書は17世紀から18世紀のロンドンにスポットを当てて,社会の情報基地としてのカフェをカレイドスコープのように描いている。当時言われていたコーヒーの効能,喧騒としたカフェの風景,政治の議論や経済活動の拠点としてのカフェ,そしてそこで起こったジャーナリズムの発展。「日刊新聞の芽が吹いたのはまさにタバコとコーヒーの香りのまっただなかにおいてであったのだ」,とある。現在では大学やホールで行われる学術的な講演を最初に行ったデザグリエルスは,ベットフォード・コーヒー・ハウスで一般大衆向けの講義をしてそれがカフェの名物であったというエピソードなども紹介されている。
たまには,スマホもPCも忘れて,古きロンドンの社会風俗史をめくりながら,学友と神保町のカフェでブレイクなどいかが。レポートのための良いアイデアの一つでも浮かぶかもしれない。
(真道杉准教授/3F東開架)