推薦図書

『日本人と裁判 : 歴史の中の庶民と司法』

  • 著者名 : 川嶋四郎 著
  • 出版社 : 法律文化社
  • 出版年 : 2010年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2019 Vol.5
司法制度改革審議会に関わってきた筆者による,古代から現代に至るまでの日本の裁判についてのエッセイ集です。日本の歴史や文学に見られる様々なエピソードを紹介しながら,それぞれの時代で司法制度・裁判制度が人々にどのように受け止められ評価されてきたかを考え,現代の裁判問題ついて語るという姿勢を取っており,現代司法への示唆を与えるおもしろい読み物だと思います。
ただし,それぞれの話題が突っ込み不足で紹介が終わって,これから本論かと思ったら次の話題に移っていたりする部分も見られます。しかし,普段の授業ではほとんど取り上げられることのない話題がたくさん取り上げられているので,歴史的な問題に関心を持つきっかけになる本だと思います。
この本は,通常のテキストとは異なり,体系的な記述にはなっていません。そこで,最初から最後まで一気読みをするよりも,むしろ興味がわいた部分をつまみ食い的に読んだり,雑学的に読んだりすることをお薦めします。
(末澤国彦助教/4F東開架)