推薦図書
『オフショア化する世界 : 人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?』
- 著者名 : ジョン・アーリ 著
- 出版社 : 明石書店
- 出版年 : 2018年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2019 Vol.4
オフショア化(オフショアリング)とは一般に,国内の製造工程の一部やサービス業務の海外移転をいう。金融分野でのオフショア市場とは,国内市場(オンショア市場)との対比で,国内市場から切り離され,海外から資金調達をして海外に融資する外-外取引がおこなわれる市場を指す。国内市場での取引は当該国の規制下にあるが,オフショア市場での取引に課される規制はより緩やかなものになる。本書では規制のない場所,あるいは規制の少ない場所への逃避をオフショアリングと表現する。タックス・ヘイブンと呼ばれる国への資金移動は,オフショアリングの一例である。
ミルトン・フリードマンが先鞭をつけた新自由主義は,1929年の大恐慌と1930年代の経済不況によって「国家」の側に傾いたシーソーを,「市場」の側に傾けることを主張してきた。新自由主義では国家による再配分の役割を最小化することを求め,再配分を可能にする租税の必要性に疑問を抱く。
オフショアリングは,「国家」が存在しない場所へ移動するという方法で,新自由主義が求める経済を作り出すツールであり,グローバル化がそれを可能にしているというのが本書の主張である。経済格差に関心がある人に読んでもらいたい1冊である。
(横溝えりか教授/5F東開架)
ミルトン・フリードマンが先鞭をつけた新自由主義は,1929年の大恐慌と1930年代の経済不況によって「国家」の側に傾いたシーソーを,「市場」の側に傾けることを主張してきた。新自由主義では国家による再配分の役割を最小化することを求め,再配分を可能にする租税の必要性に疑問を抱く。
オフショアリングは,「国家」が存在しない場所へ移動するという方法で,新自由主義が求める経済を作り出すツールであり,グローバル化がそれを可能にしているというのが本書の主張である。経済格差に関心がある人に読んでもらいたい1冊である。
(横溝えりか教授/5F東開架)