推薦図書
『日本語の作文技術』
- 著者名 : 本多勝一 著
- 出版社 : 朝日新聞社
- 出版年 : 1976年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2019 Vol.2
この本と出会ったのは中三の時だった。公立高の国語試験で,小論文が新たに出題されることになり,通っていた学習塾の国語科講師に,どんな参考書がよいかと尋ねた。「国技館大学」在学中という素性を明かさない先生は,紫煙をくゆらしながら,講師室にあった本を取り出し,「これが最善の参考書だ。お前にくれてやる」と。以来,大学教員となった今もなお,この本は座右にある。
本書を読むたびに考えさせられるのは,読点の打ち方である。「渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。」という例文をあげ,「血まみれになって」いるのは誰かと,著者は問う。このままだと,血まみれになっているのは,渡辺刑事とも賊とも解釈しうる。一つのことを言おうとして書いたのに,相反する二つのことが一文から読み取れてしまう。どこに読点を打つべきか,よく考えるべきだ,と著者はいう。
学期末試験の採点をしていて残念に思うことは,わが学生の作文能力の低さである。深刻である。学生は私たちにわかりやすい講義を求める。ならば私も言いたい。学生諸君,一読してわかる文章を書いてくれ,と。新たな学年が始まるいま,本書を強く勧める。
(野村 和彦准教授/3F西開架)
本書を読むたびに考えさせられるのは,読点の打ち方である。「渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。」という例文をあげ,「血まみれになって」いるのは誰かと,著者は問う。このままだと,血まみれになっているのは,渡辺刑事とも賊とも解釈しうる。一つのことを言おうとして書いたのに,相反する二つのことが一文から読み取れてしまう。どこに読点を打つべきか,よく考えるべきだ,と著者はいう。
学期末試験の採点をしていて残念に思うことは,わが学生の作文能力の低さである。深刻である。学生は私たちにわかりやすい講義を求める。ならば私も言いたい。学生諸君,一読してわかる文章を書いてくれ,と。新たな学年が始まるいま,本書を強く勧める。
(野村 和彦准教授/3F西開架)