推薦図書

『わが心の京都府警』

  • 著者名 : 樋口文和 著
  • 出版社 : 新潮社
  • 出版年 : 2017年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2018 Vol.1
テレビの世界では,「刑事もの」が全盛である。面白いが,法学部の学生としては,一歩距離を置いて観てもらいたい部分もある。所詮「ドラマ」なのである。それに対して,本書は「リアルな刑事の世界」である。しかも,テレビの世界より「ドキドキ」する面がある。
個人的にも親交のあるのある京都の警察官が,42年間勤め上げて,去年定年退官し,事実に基づく回顧録を刊行した。最大の推薦理由は,「文章力」である。学生の皆さんを飽きさせない魅力がある。特に本書の中心である第5章は,事件の展開が面白く,ついつい読み進んでしまう。しかも,すべて本当にあったことなのである。
刑法・刑事訴訟法の学習にとって,非常に有意義な参考文献である。ただ,それ以上に,就職に迷う学生の方にも,非常に有意義な本だと思う。日大は,最も多くの警察官を輩出している大学と聞いている。全部を読み終えた上で,最後に「自分に正直であってよかったといえる警察官人生」という筆者の言葉を噛み締めて欲しい。まさに本音なのである。
(前田 雅英教授/新着図書コーナー)