推薦図書

”New Challenger Parties in Western Europe”

  • 著者名 : Airo Hino
  • 出版社 : Routledge
  • 出版年 : 2012年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2017 Vol.1
本書は,1950年以降に西欧15か国で行われた229回の選挙結果にもとづき,各国に共通してみられる「新しい挑戦者としての政党(New Challenger Parties)」に焦点を向けたものである。15か国の内訳は,英国,フランス,ドイツ,イタリア,ベルギー,オーストリア,スイス,オランダ,ルクセンブルク,アイスランド,アイルランド,スウェーデン,ノルウェー,デンマーク,フィンランドである。これらの国々では,既存の政党の取り扱ってこなかった争点に対して,新しい政党が注意を払うようになり,選挙の際に争点化することで政治に一定の影響を及ぼしてきた。その結果として,いかに伝統的な政党政治が変容を遂げたのかについて,各国のデータにもとづいて比較分析を行っているのが本書である。書名の一部にもなっている「新しい挑戦者としての政党」は,たとえば,環境問題,移民問題,地域主義をめぐる問題などを争点として掲げたり,極右政党として台頭したりした。現在では,新しい争点というよりも,政治における中心的な争点であり,喫緊の課題ばかりである。これらが歴史的にどのように争点化されてきたのかという点を考えるためにも,本書は有益な視点を示している。
(岩崎 正洋教授/5F西開架)