推薦図書

“Party System Change : Approaches and Interpretations”

  • 著者名 : Peter Mair著
  • 出版社 : Oxford University
  • 出版年 : 1997年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2014 Vol.5
メア(Peter Mair)は,過去四半世紀の政党研究において,世界で最も指導的な立場にあった政治学者の一人である。しかし,彼は,2011年8月15日に急逝した。本書Party System Change : Approaches and Interpretationsは,彼の生前唯一の単著であるが,刊行から既に二十年近くが経過しているとはいえ,今でも何ら価値を失っておらず,政党研究における必読書となっている。本書は,彼が最も脂ののっていた時期に発表した代表的な論文を集めたものである。たとえば,カルテル政党(cartel party)モデルや政党システムの競合構造に関する議論は,メアによる政党研究においては,最もオリジナリティをもっており,後の政党研究にも大きな影響を及ぼしたものである。世界でも日本でも,カルテル政党モデルをめぐっては,賛否両論のさまざまな立場から議論が展開されている。メアが初めてまとまったかたちでカルテル政党モデルを発表したのは,1995年の論文においてであったが,本書は,同論文を所収しており,それだけでも手に取る価値のある一冊だと思われる。また,政党システムの競合構造についても,世界の状況はもちろんのこと,日本の政党政治の変容を考える際にも有用な枠組みを提示しており,本書から得られる示唆は多岐にわたる。
[岩崎正洋教授/5F西開架]