推薦図書

“Internationales Zivilprozessrecht”

  • 著者名 : Abbo Junker著
  • 出版社 : Verlag C.H. Beck
  • 出版年 : 2012年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2012 Vol.5
本書は,ドイツ・ミュンヒェン大学のユンカー教授によって書かれた国際民事訴訟法のテキストである。本書は,学生向けの入門書であることから,原則として国際民事訴訟法の基礎的知識の提供を目標に書かれているが,最新の判例・学説の議論状況を踏まえた最新の情報も盛り込まれている。第1部では国際民事訴訟法の定義や国際民事訴訟法の法源,第2部では民事裁判権の免除,第3部では国際裁判管轄,第4部では国際的訴訟競合,外国人の訴訟上の地位,送達及び証拠調べ,そして最終の第5部では外国判決の承認・執行の問題が取り上げられている。なお,今日,国際民事訴訟法を学習する上で,民商事事件における裁判管轄・判決承認に関するブリュッセルI規則と婚姻や子に対する親の責任事件における裁判管轄・判決承認に関するブリュッセルII規則についての理解が不可欠であるが,本書の第2部第2章・第3章及び第5部において,ブリュッセルI規則とブリュッセルII規則についての詳細な説明がなされている。本書は,ドイツ語のテキストであるため,十分に理解するのは難しいと思われるが,国際民事訴訟法の分野に興味のある学生及び大学院生は,日本語のテキスト(例えば,本間靖規・中野俊一郎・酒井一著『国際民事手続法〔第2版〕』有斐閣・2012など)を参考にして一読することをお勧めする。
(小田司教授/6F西開架)