推薦図書

“Media Debates: Great Issues for the Digital Age”

  • 著者名 : Everette E. Dennis & John C. Merrill 著
  • 出版社 : Wadsworth Pub
  • 出版年 : 2005年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2012 Vol.1
同書は英語圏の大学高学年向けのジャーナリズム規範を考える専門テキストである。内容は,ジャーナリズムの在り方について普遍的な20の争点をめぐり,著名なふたりのジャーナリズム研究者が紙上でディベートを繰り広げる,というもの。デジタル化によって刻々と変わるジャーナリズムの先端に即し,すでに4版を数える。そろそろ5版が出てくるかもしれない。英語圏では著名な大学教材のひとつである。例えば,第一章は言論の自由がテーマである。言論の自由は他の自由に優先される根源的なもの,という主張と,限定的かつ相対的なものだという主張が,さまざまな判例とともにぶつかり合う。どちらも説得力がある。扱うテーマは,いずれも単純な正解がなく,ジャーナリズムをめぐる思考回路を鍛える構成となっている。  著者のひとりは,エベレット E.デニス。長年,米国のジャーナリズムの現場をつぶさに見て歩いている業界の重鎮である。もう一人の著者は,ジョン C.メリル。学究一筋で,理論や研究方法論等を含め実に著作が多い。教科書づくりの第一人者だ。実務面から理論面まで幅広く展開される論旨や話術も,興味深い。
(別府三奈子准教授/6F西開架)