推薦図書
『遺言と遺留分 第1巻 遺言 第2版』
- 著者名 : 編集代表 久貴 忠彦
- 出版社 : 日本評論社
- 出版年 : 2010年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2011 Vol.3
本書はほぼ10年まえに出されたものに,その後の判例・学説の動向をふまえ大幅の補訂をなすとともに。新たに「後継ぎ遺贈なるもの」という論文を加え第2版として出版されたものである。かつては相続法の議論は法定相続を中心としたものであったが,現在では自己の死後における財産の処理を遺言によりなそうとする者が多くなり,法定相続は遺言がない場合の補充的なものではないかとも言われるようになっている。その遺言の実態及び問題点につき,①遺言能力,②遺言の実態と遺言というものの考え方,③遺言の撤回と遺言の解釈,④遺言の執行,⑤遺言の破棄・隠匿の5章にわけそれぞれ最新の論文が書かれている。簡単に見ても興味を引くのは,高齢者による遺言の関係からは「遺言能力に関する諸問題」「実務から見た高齢者の遺言と『遺言能力』」,相続させる旨の遺言との関係では「『相続させる』旨の遺言の実務上の問題点」「相続させる」旨の遺言の功罪」「包括遺贈」の各論文である。本書は,将来必ず考えなければならなくなる遺言について現在の議論状況を知るものとして格好のものである。なお,「遺言と遺留分 第2巻 遺留分 第2版」も読んでいただきたい。
(益井公司教授/4F西開架)
(益井公司教授/4F西開架)