推薦図書
『近代日本の競馬 : 大衆娯楽への道』
- 著者名 : 杉本竜 著
- 出版社 : 創元社
- 出版年 : 2022年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2023 Vol.3
今年は,競馬法によって馬券が合法化されて100周年を迎えます。
本書は,日本競馬の黎明期の幕末から大正時代の競馬法の成立による馬券の合法化,大衆娯楽としての競馬の発展,そして太平洋戦争による戦前競馬の終焉へと続く近代日本競馬の歴史について書かれています。
特に日清・日露の戦争を経て日本在来馬が軍馬として不向きであることから,馬の改良をめざして競馬が推奨されることになり,そこから始まる陸軍と宮内省・農商務省・競馬倶楽部の主導権争いや馬券の賭博性をめぐり,現行刑法制定時には馬券の発行が禁止される流れは興味深く読めるところです。
また,馬券の合法化以降,競馬は大衆娯楽として新中間層と呼ばれる人々に人気を博し,日本ダービーをはじめとする現代につながる大レースが創設され,観客は馬券を購入し,サラブレッドの迫力あるレースを楽しみました。そこでは競馬新聞,競馬専門誌,予想屋など日本独特の競馬文化が生み出されたことや,文学作品にも競馬を題材としたものが多く発表されたことなども興味深いところです。
本書は,競馬ファンやウマ娘から競馬に興味を持った人だけでなく,そうでない人にもお勧めできる歴史書です。
(末澤国彦専任講師/1F新着図書コーナー 788.5||Su 38)
本書は,日本競馬の黎明期の幕末から大正時代の競馬法の成立による馬券の合法化,大衆娯楽としての競馬の発展,そして太平洋戦争による戦前競馬の終焉へと続く近代日本競馬の歴史について書かれています。
特に日清・日露の戦争を経て日本在来馬が軍馬として不向きであることから,馬の改良をめざして競馬が推奨されることになり,そこから始まる陸軍と宮内省・農商務省・競馬倶楽部の主導権争いや馬券の賭博性をめぐり,現行刑法制定時には馬券の発行が禁止される流れは興味深く読めるところです。
また,馬券の合法化以降,競馬は大衆娯楽として新中間層と呼ばれる人々に人気を博し,日本ダービーをはじめとする現代につながる大レースが創設され,観客は馬券を購入し,サラブレッドの迫力あるレースを楽しみました。そこでは競馬新聞,競馬専門誌,予想屋など日本独特の競馬文化が生み出されたことや,文学作品にも競馬を題材としたものが多く発表されたことなども興味深いところです。
本書は,競馬ファンやウマ娘から競馬に興味を持った人だけでなく,そうでない人にもお勧めできる歴史書です。
(末澤国彦専任講師/1F新着図書コーナー 788.5||Su 38)