推薦図書

『ホッブズリヴァイアサン』

  • 著者名 : 梅田百合香 著
  • 出版社 : KADOKAWA
  • 出版年 : 2022年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2022 Vol.3
法学部分館はホッブズの『リヴァイアサン』初版(1651年)を所蔵しています。原典は水田洋の翻訳(岩波文庫)で読むことができます。本書は,ホッブズの『リヴァイアサン』献辞,序論,第1部人間について,第2部国家について,第3部キリスト教の国家について,第4部闇の王国について),総括と結論を理解するための解説書として出版されました。ただし本書では献辞や全47章中20章が割愛されています。序論と27章の訳文抜粋とその後の解説となっており,あくまでも原典の入門書となっています。ホッブズは近代国家論の創始者といわれていますが,財政学においても彼の租税利益説(租税は国家から受ける利益の代価である)は,租税を正当化する理論として注目されています。残念ながらホッブズの租税観が登場する第30章は今回省かれています。抜粋された訳文も読みやすく,またあまり扱われない第3部と第4部も解説されていて,最後に文献案内もつけられていますので,『リヴァイアサン』初学者に本書はうってつけです。
(川又祐教授/4F東開架 311||U 64)