推薦図書
『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? : これからの経済と女性の話』
- 著者名 : カトリーン・マルサル著 ; 高橋璃子訳
- 出版社 : 河出書房新社
- 出版年 : 2021年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2022 Vol.4
2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標=SDGsの5番目に「ジェンダー平等の実現」が掲げられています。日本においても2016年以降,女性の活躍推進のための取り組みが行われてきました。とはいえ,私たちは毎日の生活のなかでジェンダー平等またはジェンダー不平等を意識することはどの程度あるでしょうか。
本書は,経済と女性という枠組みからジェンダー平等に関わるさまざまな問いを投げかけます。著者は,経済学がもつ学問としての特質や批判すべき点を指摘しながら,私たちに根付く経済学的「常識」に疑問を投げかけ,その意義を問い直すことを求めます。学界では,男性の手による伝統的な経済学から取りこぼされた女性の存在を位置づけ新たな経済学を生み出す取り組み(フェミニスト経済学)がありますが,それは,女性がいない経済学にNoを突きつける試みです。経済学は私たちの社会を構成する半分の要素を無視してきたのではないでしょうか。経済成長は,GDPには換算されない労働=家事にも支えられていたはずです。著者が,「そのステーキ,誰が焼いたんですか?」と問うのは,経済学の影,そしてそこに隠された女性の存在を浮き彫りにするためです。しかし,この問いが示すように,その語り口は決して難解なものではありません。肩の力を抜いてジェンダー平等について考えるために,本書をぜひ手に取ってほしいです。
(生垣琴絵専任講師/5F東開架 331||Ma 51)
本書は,経済と女性という枠組みからジェンダー平等に関わるさまざまな問いを投げかけます。著者は,経済学がもつ学問としての特質や批判すべき点を指摘しながら,私たちに根付く経済学的「常識」に疑問を投げかけ,その意義を問い直すことを求めます。学界では,男性の手による伝統的な経済学から取りこぼされた女性の存在を位置づけ新たな経済学を生み出す取り組み(フェミニスト経済学)がありますが,それは,女性がいない経済学にNoを突きつける試みです。経済学は私たちの社会を構成する半分の要素を無視してきたのではないでしょうか。経済成長は,GDPには換算されない労働=家事にも支えられていたはずです。著者が,「そのステーキ,誰が焼いたんですか?」と問うのは,経済学の影,そしてそこに隠された女性の存在を浮き彫りにするためです。しかし,この問いが示すように,その語り口は決して難解なものではありません。肩の力を抜いてジェンダー平等について考えるために,本書をぜひ手に取ってほしいです。
(生垣琴絵専任講師/5F東開架 331||Ma 51)