推薦図書
『「私物化」される国公立大学(岩波ブックレット)』
- 著者名 : 駒込武 編
- 出版社 : 岩波書店
- 出版年 : 2021年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2021 Vol.4
文部科学省の「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律及び学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令について(通知)」(2014年8月29日付)以降,国公立の学長の任期制度の緩和・撤廃が行われ,学長選考システムも変更されました。どうも政府・自民党は,自らの意向に即した大学改革を実現するためには,学長によるトップダウンの構造が不可欠であると考えているようです。
結果,教授会は予算権や人事権がなくなり,教育研究に関する事項のみを審議する組織に変貌しました。学長は,教授会の選任や推薦を一切認めない絶対的な「最終決定権」を持つようになりました。そのため,学長に決定権が集約しています。つまり,大学のガバナンスがトップダウン型に変化したため,大学運営に学内構成員の意見が反映されないという民主主義の解体がなされているのです。本書は国公立大学で起きている解体実例が事細かく掲載されています。読後,どこかで「対岸の火事」のように見なしていたことが悔やまれることでしょう。日大の問題もそれが大きな足かせになっているように思われるからです。
(野口恵子教授/3F東開架 081||I 95||1052)
結果,教授会は予算権や人事権がなくなり,教育研究に関する事項のみを審議する組織に変貌しました。学長は,教授会の選任や推薦を一切認めない絶対的な「最終決定権」を持つようになりました。そのため,学長に決定権が集約しています。つまり,大学のガバナンスがトップダウン型に変化したため,大学運営に学内構成員の意見が反映されないという民主主義の解体がなされているのです。本書は国公立大学で起きている解体実例が事細かく掲載されています。読後,どこかで「対岸の火事」のように見なしていたことが悔やまれることでしょう。日大の問題もそれが大きな足かせになっているように思われるからです。
(野口恵子教授/3F東開架 081||I 95||1052)