推薦図書
『自由はどこまで可能か : リバタリアニズム入門』
- 著者名 : 森村進 著
- 出版社 : 講談社
- 出版年 : 2001年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2021 Vol.1
著者の新刊「法哲学はこんなに面白い」(信山社,2020年・法学部図書館に収蔵)に触れた時に本書について思い出したので紹介します。というのも,紹介者が学部学生で法哲学ゼミに所属していた際,ゼミで本書を読んで議論をしたのです。種々の問題について考える際には,ある種の極論を出発点とすることは有益な方法の一つだと思います。本書が扱う「リバタリアニズム」は,自由至上主義,とも訳されるように,経済的自由(財産権),精神的自由,政治的自由といった個人の自由を最大限に尊重する思想です。この思想の結論は,皆さんに受け入れられ難いものかもしれません。たとえば,自己の奴隷化や自己の臓器売買の自由を認めたり,婚姻という制度を廃止する,といったものです。結論に賛成するかは別として,これらについてのリバタリアニズムの議論を見ると「なぜ自分の臓器を売ってはいけないのか」「なぜ婚姻という制度があるのか」といった,一見当然の事柄をじっくり考え直すきっかけとなります。本書を,友人と議論するための題材にすると面白いでしょう(一人でじっくり考えることも良いことはいうまでもありません)。
(吉田 純平准教授/3F東開架・5F東開架)
(吉田 純平准教授/3F東開架・5F東開架)