推薦図書
『過労自殺』第2版
- 著者名 : 川人博 著
- 出版社 : 岩波書店
- 出版年 : 2014年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2020 Vol.1
学生のみなさん,「過労自殺」や「過労死」といったニュースを,自分とは関係のない問題だと考えないで欲しい。本書を読むと,長時間労働やパワハラなどが原因で若者でも過労自殺・過労死が珍しくないことが理解できる。
その構成は,第1章「事例から」,第2章「特徴・原因・背景・歴史」,第3章「労災補償をめぐって」,第4章「過労自殺をなくすために」の4部からなっている。
事例では,前述の通り過労自殺が比較的若い労働者でも少なくないこと,またその職種も様々であることが紹介されている。また警察庁の「自殺統計」を示し,自殺の「原因・動機」として「勤務問題」であった場合の人は約2000人いる一方で,自殺(含・未遂)に関し労災申請をしたのは169~202件,そのうち労災と認定された件数は65~93件であることを指摘した上で,厚生労働省の労災認定件数をもって業務に因る自殺の数と見なすのは,実態と乖離するのではないかと述べる(123頁)。さらに筆者は過労自殺防止のための方策をいくつか提案しているが,その中の一つに学校教育で労働や企業の実態を教えることや学生時代に「自らを守る法律上の護身術」を身につけるために,労働法を必修科目すべきではないかとも提案している(244頁)。
誰にとっても他人事ではない「過労自殺・過労死」を避けるために,大学在学中に本書を手に取って読むことを薦めたい。
(大山 盛義教授/5F東開架)
その構成は,第1章「事例から」,第2章「特徴・原因・背景・歴史」,第3章「労災補償をめぐって」,第4章「過労自殺をなくすために」の4部からなっている。
事例では,前述の通り過労自殺が比較的若い労働者でも少なくないこと,またその職種も様々であることが紹介されている。また警察庁の「自殺統計」を示し,自殺の「原因・動機」として「勤務問題」であった場合の人は約2000人いる一方で,自殺(含・未遂)に関し労災申請をしたのは169~202件,そのうち労災と認定された件数は65~93件であることを指摘した上で,厚生労働省の労災認定件数をもって業務に因る自殺の数と見なすのは,実態と乖離するのではないかと述べる(123頁)。さらに筆者は過労自殺防止のための方策をいくつか提案しているが,その中の一つに学校教育で労働や企業の実態を教えることや学生時代に「自らを守る法律上の護身術」を身につけるために,労働法を必修科目すべきではないかとも提案している(244頁)。
誰にとっても他人事ではない「過労自殺・過労死」を避けるために,大学在学中に本書を手に取って読むことを薦めたい。
(大山 盛義教授/5F東開架)