推薦図書
『第一次世界大戦』全4巻
- 著者名 : 山室信一=岡田暁生=小関隆=藤原辰史 編
- 出版社 : 岩波書店
- 出版年 : 2014年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2015 Vol.1
第一次世界大戦は,それまでの戦争形態を一変させ,国家のあらゆる人的・物的資源のみならず国民精神までも動員する「総力戦」となった。航空機,潜水艦,戦車,毒ガスといった新兵器が駆使され,通商破壊戦が海上で展開された。その結果,1300万人が命を落とし,4つの帝国が崩壊した。大戦への反省から設立された史上初の国際平和機構,国際連盟は,戦争違法化の端緒をひらいた。
2014年7月は第一次世界大戦の開戦百周年にあたる。日本でもいくつかの研究書が刊行されたが,その一つが『第一次世界大戦』全4巻である。第1巻『世界戦争』,第2巻『総力戦』,第3巻『精神の変容』,第4巻『遺産』からなる。ここでは紙幅の関係上,第1巻のみを紹介する。
本書には9本の論説と6本のコラムが収められている。その特徴は,ヨーロッパ,アジア,中東,アフリカといった各地域間の相互関係において,大戦の性格とその影響を分析している点である。戦争原因と諸国の参戦理由,ヨーロッパ外への戦争の拡大のほか,イギリスによるインド人兵士の動員と戦後の民族運動,中国の参戦外交とナショナリズム,東南アジアへの影響,オスマン帝国の参戦と崩壊,日本の参戦経緯と対中国外交などが興味を惹く。日本における第一次世界大戦研究の現段階を示す意欲的な著作であり,学業,就活の合間にぜひ読んでいただきたい一書である。
[喜多義人准教授/3F西開架]
2014年7月は第一次世界大戦の開戦百周年にあたる。日本でもいくつかの研究書が刊行されたが,その一つが『第一次世界大戦』全4巻である。第1巻『世界戦争』,第2巻『総力戦』,第3巻『精神の変容』,第4巻『遺産』からなる。ここでは紙幅の関係上,第1巻のみを紹介する。
本書には9本の論説と6本のコラムが収められている。その特徴は,ヨーロッパ,アジア,中東,アフリカといった各地域間の相互関係において,大戦の性格とその影響を分析している点である。戦争原因と諸国の参戦理由,ヨーロッパ外への戦争の拡大のほか,イギリスによるインド人兵士の動員と戦後の民族運動,中国の参戦外交とナショナリズム,東南アジアへの影響,オスマン帝国の参戦と崩壊,日本の参戦経緯と対中国外交などが興味を惹く。日本における第一次世界大戦研究の現段階を示す意欲的な著作であり,学業,就活の合間にぜひ読んでいただきたい一書である。
[喜多義人准教授/3F西開架]