推薦図書
『二院制議会の比較政治学:上院の役割を中心に』
- 著者名 : 岩崎美紀子 著
- 出版社 : 岩波書店
- 出版年 : 2013年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2014 Vol.2
本書は,その題名が示すとおり,上院の役割にもスポットを当てて,カナダ,イタリア,スペイン,ドイツなど主要国の二院制議会の実態を比較・分析した良書である。わが国では,いわゆる「衆・参ねじれ」状態が解消されて久しい。しかし,二院制および上院(日本では参議院)のあり方や,再び「ねじれ」が生じた場合の政党間の制度的取り決めなど,根本的かつ具体的な問題は,やはり未解決のまま残ってしまったようだ。
この点に関して著者は,その「あとがき」で次のように述べながら,われわれ読者をさらなる「思索の森」へといざなう。「海外諸国を分析対象としているものの,問題意識の源泉には日本がある。(中略)古代まで遡り,権力者の変遷を,国家意識の有無や権力の正当性の根拠に焦点を当てながら概観したが,ノブレスオブリージュのない貴族,さまざまな部門での世襲の浸透,臭いものに蓋・長いものに巻かれる政治文化,目先だけの対処療法・喉元過ぎれば忘却,目的の曖昧さと手段の目的化など,時代を超えて共通する傾向を捉えたような気がする。」「日本人と政治」についても,考えさせられるところの多い1冊と言えよう。
[渡辺容一郎教授/4F東開架]
この点に関して著者は,その「あとがき」で次のように述べながら,われわれ読者をさらなる「思索の森」へといざなう。「海外諸国を分析対象としているものの,問題意識の源泉には日本がある。(中略)古代まで遡り,権力者の変遷を,国家意識の有無や権力の正当性の根拠に焦点を当てながら概観したが,ノブレスオブリージュのない貴族,さまざまな部門での世襲の浸透,臭いものに蓋・長いものに巻かれる政治文化,目先だけの対処療法・喉元過ぎれば忘却,目的の曖昧さと手段の目的化など,時代を超えて共通する傾向を捉えたような気がする。」「日本人と政治」についても,考えさせられるところの多い1冊と言えよう。
[渡辺容一郎教授/4F東開架]