推薦図書
“Capital in the Twenty-First Century”
- 著者名 : Thomas Piketty著 Arthur Goldhammer英訳
- 出版社 : Harvard University Press
- 出版年 : 2014年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2014 Vol.2
気鋭の経済学者による格差論。著者はパリ経済大学教授。2013年に仏語で出版され,ただちに英訳された。資本の収益率が経済成長率を上回り資本を持つものに富が集中していき,経済格差を拡げていく。資本を相続したものは生まれながら優位にある。Pikettyは,30人をこえる共同研究者とともに,経済格差と所得分配,富の分配と富と所得の関係,についての20か国,長期にわたるデータベースを構築し,そこから以下のような結論を得た。
歴史的にみて富の分配はいつも極めて政治的なもので,経済メカニズムだけ委ねることはできない。富の分配の歴史をみると,混乱と格差拡大の勢いを止めるメカニズムは経済社会にビルトインされていない。このほか,過去の格差の推移についても,深い洞察を展開している。結論として,筆者は保有する資本にたいしての累進課税を提言している。知的刺激を求める学徒にふさわしい一冊である。
[稲葉陽二教授/6F西開架]
歴史的にみて富の分配はいつも極めて政治的なもので,経済メカニズムだけ委ねることはできない。富の分配の歴史をみると,混乱と格差拡大の勢いを止めるメカニズムは経済社会にビルトインされていない。このほか,過去の格差の推移についても,深い洞察を展開している。結論として,筆者は保有する資本にたいしての累進課税を提言している。知的刺激を求める学徒にふさわしい一冊である。
[稲葉陽二教授/6F西開架]