推薦図書
“War by Contract: human rights, humanitarian law, and private contractors”
- 著者名 : Francesco Francioni and Natalino Ronzitti 著
- 出版社 : Oxford University Press
- 出版年 : 2011年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2014 Vol.1
21世紀になって発生した一連の対テロ戦争やイラク戦争において,民間軍事会社(private military and security companies,以下PMSC)は後方支援から直接の戦闘参加まで幅広い業務に従事するようになった。そして,PMSCの職員が紛争地で民間人を殺傷する事件も起きている。
本書では,近年問題となっているPMSCについて,特に国際人道法と人権法の観点から,28名の各分野の専門家が論じている。現在の国際人道法では,軍人が戦闘を行ない,民間人は軍事行動に参加しないことが大前提となっている。戦争は,正規の軍人により構成される軍隊が行なうものなのである。このようななか,たとえば敵に捕らえられたPMSCの職員は,ジュネーヴ諸条約により捕虜資格を与えられるのか?あるいは,PMSCの職員が犯罪をおかした場合,だれがどのような責任をとるのか?
2008年9月に調印されたモントルー文書によると,武力紛争においてPMSCは国際人道法と人権法を順守しなければならない。しかし,この文書は重要な指針を示してはいるが,法的拘束力はない。こうした状況のなかで,本書はPMSCに関して法の現状を示すとともに,今後この分野において法が発展する方向性を示唆している。
(喜多義人准教授/6F西開架)
本書では,近年問題となっているPMSCについて,特に国際人道法と人権法の観点から,28名の各分野の専門家が論じている。現在の国際人道法では,軍人が戦闘を行ない,民間人は軍事行動に参加しないことが大前提となっている。戦争は,正規の軍人により構成される軍隊が行なうものなのである。このようななか,たとえば敵に捕らえられたPMSCの職員は,ジュネーヴ諸条約により捕虜資格を与えられるのか?あるいは,PMSCの職員が犯罪をおかした場合,だれがどのような責任をとるのか?
2008年9月に調印されたモントルー文書によると,武力紛争においてPMSCは国際人道法と人権法を順守しなければならない。しかし,この文書は重要な指針を示してはいるが,法的拘束力はない。こうした状況のなかで,本書はPMSCに関して法の現状を示すとともに,今後この分野において法が発展する方向性を示唆している。
(喜多義人准教授/6F西開架)