推薦図書
『これからはじめる統計学』
- 著者名 : 蓑谷千凰彦 著
- 出版社 : 東京図書
- 出版年 : 2011年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2013 Vol.3
この本の前身は名著『統計学のはなし』です。筆者は以前この名著を愛用,しかしながら掲載されている統計データが古くなってしまい,疎遠になっていたところ,最近,この本がデータも新たに出版されました。新しい版ではマンガの挿絵が無くなってしまったのが残念ですけれども,ティー・タイムの方は健在です。何が学生に深い印象を与え,記憶に残るかというと,脱線です。例えば,「8.4.正規分布の例」の後,ティー・タイムの項で「ド・モアブルは正規分布の最初の発見者,『生命年金』における確率論の統計への応用,確率母関数の概念を最初に与えた人として忘れることのできない人です。1754年ロンドンで“睡眠過多症”で死去したとき87歳でした。」と脱線し,続けて「8.5.正規分布の重要性」で「正規分布に従わない観測結果が得られた場合,それはデータが不足しているか,データのとり方が悪いからである,というような19世紀の『正規分布信仰』は無くなりましたが,しかし,正規分布が統計学においてもっとも重要な分布であることは確かです。それは次のような理由にもとづいています。」と5つの理由をあげて本筋にもどっています。この本筋と脱線のブレンドが素晴らしい。
(髙橋徹教授/3F西開架)
(髙橋徹教授/3F西開架)