推薦図書
『典型担保法の諸相』
- 著者名 : 道垣内弘人著
- 出版社 : 有斐閣
- 出版年 : 2013年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2013 Vol.3
この著書は,これまで道垣内教授が書いてきた担保法総論と典型担保に関する論稿を集めて一冊の論文集にしたものである。著者がいうように体系的な記述ではなく,その都度の問題意識に基づいて個々の論文が書かれており,それぞれの論文は短いものであるが,これまで考えられなかった新たな問題点を指摘する等知性の閃きといったものを感じさせるものとなっている。そのため,これまでの通説・判例によってしか考えてこなかった者にとっては思いもしなかった議論が展開されており,自分自身の頭で考えるとはどういうことなのかということを示してくれており,末弘厳太郎の『民法雑記帳』等の一連の著作に似た面白さを感じさせるものである。論稿の半分強が判例研究になっているので,学生諸君が講義で学んだ判例を自分自身で考えるとき,この著書から得るところが多いと思われる。また,序章 担保物権法総論第1節「担保物権法学の歩みと今後」から第4節「担保の侵害」で扱われている4つの論文はこれからの担保物権法のありかたを考えさせるものとなっている。個々の論文は短いものであるから,目次を見て自分の興味を引く論文を読んで,担保物権法の面白さを感じていただきたい。
(益井公司教授/4F西開架)
(益井公司教授/4F西開架)