推薦図書
『大学とは何か』
- 著者名 : 吉見俊哉 著
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2011 Vol.4
21世紀も既に10年以上経過した。ここに来て,これまで所与のものとしてあった組織や考え方に,再検討や見直しが迫られていることはここで具体例をあげずとも最早明白なことであろう。
当然「大学」なる組織もその例外ではない。本書は,大学が一体何であるかを,中世ヨーロッパの歴史的淵源まで遡り,大学が歴史的に果たしてきた役割を分析した。日本では,19世紀にそれが輸入され,次第に天皇のまなざしを受けつつ,帝国を背景にした展開をするようになる。戦後になり大学が大衆化するにつれ,大学が抱える歴史的かつ本質的問題が「学生叛乱」という形をとり噴出した。これをうけ,80年代以降の改革が行われ,今後の大学への展望を唱えて本書は閉じられる。
ネット社会を迎えて,「知」なる分野も様々な運命的改変を迫られてきた。本書はそのような社会的変化に敏感に反応し,新たなる「知」の獲得を模索している。その中でもやはり大学は必要であり,大学も社会全体の動きに即応し,そして大学自身が自己改変を進めていかなければ,時代の流れに応じきれないこと。そして大学に関わる者たちは,その流れを敏感に感じ取り,そして歴史を踏まえた中で,次なる大学像を模索する必要性のあることを筆者は唱えていると考えられる。
大学の現在と過去を知り,未来を展望する上で是非とも一読をお薦めしたい。
(黒滝真理子教授/5F東開架)
当然「大学」なる組織もその例外ではない。本書は,大学が一体何であるかを,中世ヨーロッパの歴史的淵源まで遡り,大学が歴史的に果たしてきた役割を分析した。日本では,19世紀にそれが輸入され,次第に天皇のまなざしを受けつつ,帝国を背景にした展開をするようになる。戦後になり大学が大衆化するにつれ,大学が抱える歴史的かつ本質的問題が「学生叛乱」という形をとり噴出した。これをうけ,80年代以降の改革が行われ,今後の大学への展望を唱えて本書は閉じられる。
ネット社会を迎えて,「知」なる分野も様々な運命的改変を迫られてきた。本書はそのような社会的変化に敏感に反応し,新たなる「知」の獲得を模索している。その中でもやはり大学は必要であり,大学も社会全体の動きに即応し,そして大学自身が自己改変を進めていかなければ,時代の流れに応じきれないこと。そして大学に関わる者たちは,その流れを敏感に感じ取り,そして歴史を踏まえた中で,次なる大学像を模索する必要性のあることを筆者は唱えていると考えられる。
大学の現在と過去を知り,未来を展望する上で是非とも一読をお薦めしたい。
(黒滝真理子教授/5F東開架)