推薦図書

“Debates on democratization”

  • 著者名 : Larry Diamond, Marc F. Plattner, Philip J. Costopoulos 編
  • 出版社 : Johns Hopkins University Press
  • 出版年 : 2010年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2011 Vol.3
本書は,1990年代前半からジョンズ・ホプキンス大学出版より刊行されている「民主化(democratization)」に関するシリーズの一冊である。本書は,同シリーズの代表者ともいえるLarry DiamondとMarc F. Plattnerに加え,民主化研究の分野で中心的な位置を占めるJournal of Democracy誌のPhilip J. Costopoulosの三人が編者となり,民主化研究の主要な論点を幅広く取り扱っている。 目次を一瞥すると,民主主義の定着,体制移行,民主化の段階,民主化の代表的な事例,大統領制などに関して,さまざまな議論がとり上げられている。例えば,民主化研究における必須の議論ともいえるJuan J. LinzとAlfred Stepanによる民主主義の定着に関する論考をはじめ,Guillermo O’Donnellによる移行論や民主主義の定着に関する論考が掲載されており,内容的にも充実している。 他にも,Francis FukuyamaやSeymour Martin Lipsetなどの論考も含まれており,民主化研究だけでなく,政治学ないし比較政治学,さらには,国際政治学を専攻する者にとっても一読に値する書物であると思われる。また,本書以外にも同シリーズは,政治学および比較政治学の最新の議論を把握するには有用であり,同シリーズの他の書物も併せて推薦しておきたい。 
(岩崎正洋教授/6F東開架)