推薦図書

『数学は言葉』

  • 著者名 : 新井紀子 著
  • 出版社 : 東京図書
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2011 Vol.2
著者は,この本で数学を言葉としてとらえ,数学者や科学者だけが使うものではなく,あらゆる分野の共通語として使われているとし,『法学と数学とでは語彙が異なるので,見かけはずいぶんちがいますが,その枠組みはたいへん似ています。』と述べています。さらに『そんなことが何の役に立つのだろう?』という疑問に対して,『高校から大学までの間に飛び越えるべき深い溝があるとしたら,それはまちがいなく,数学語の溝であり,論理の谷なのです。それは,「説明しなくてもわかりあえる」池の中から,「説明しなければわからない」大海へと,みなさんがこぎ出す瞬間なのかもしれませんね。』とあります。本当かウソか,本に目を通されて,考えてみる価値はあると思います。数学の本を読んで解らなかったら,自分の頭の出来を疑う前に,数学語のチェックをすべきでしょう。本の最後に8つのチェック項目があって,『もし,上に書かれている項目すべてをクリアできたなら,私の役目は終わりです。あなたはもう大丈夫。この先,解析学の本も代数学の本もきっと自力で読み解くことができるはず。』とあります。自分の若かった頃こんな本があったらなあ,とつぶやいてしまった本です。 
(高橋 徹教授/3F西開架)