推薦図書

『アメリカ著作権法 (アメリカ法ベーシックス ; 15)』

  • 著者名 : 安藤和宏著
  • 出版社 : 弘文堂
  • 出版年 : 2025年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2025 Vol.4
体系的な米国著作権法の和文による解説書は,著名な米国の著作権法学者マーシャル・リーファーの著作の和訳等はあるにも,未だにごく少ない現状です。本書は,米国著作権法の制定以来の経緯から説き起こし,日本の法制度には無い著作物の“固定性”の要件や著作権の表示,登録の制度,著作権の効力に一般的例外を設けるフェア・ユース,著作物の破壊を禁じるモラル・ライツ等について詳しく述べている点で,貴重なものです。また,著作権の間接侵害について,今年の11月に東京地裁が,人気漫画の海賊版サイトに閲覧サービスの提供を技術的に可能にしていた米国企業の行為が著作権侵害のほう助に当たると法的責任を認めて話題を呼ぶ一方,日本の著作権法には,間接侵害を定める条文はありません。本書は,米国著作権法中の間接侵害の類型である代位責任や寄与侵害の法理,さらにサイバースペースに関わる間接侵害の成否が争われた訴訟の詳細も紹介しています。このように,“所違えば著作権法も異なる”知的財産権の属地性を随所で理解し,著作権法制度について多くの示唆を得ることができるでしょう。終章では,連邦著作権法と州法との交錯関係についても,カリフォルニア州法が定めてきた著作権者の報酬請求権の一種である追求権を事例に論じて,日本法への影響にも言及しており,興味深いものです。

(加藤暁子教授/3F東開架 021.2||A 47a)     ※赤字をクリックでOPACにつながります