推薦図書

『『女工哀史』は生きている : 細井和喜蔵と貧困日本 (岩波ブックレット ; No.1110)』

  • 著者名 : 松本満, 斎藤美奈子著
  • 出版社 : 岩波書店
  • 出版年 : 2025年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2025 Vol.4
本書は,1925年,出版されると同時にベストセラーになった『女工哀史』の「ガイドブック」です。『女工哀史』が刊行されてちょうど100年が経った今年,2025年は著者である細井和喜蔵の没後100年にもあたります。
本書の「はじめに」では,「女工哀史」という語が過酷な労働現場の代名詞のように認識されてきたことを理解しつつ,実際の『女工哀史』という本は,「虐げられた哀れな女工の物語」ではなく,「企業の悪徳ぶりにぐいぐい攻め入る,微に入り細をうがったノンフィクションだ」ということを強調します。さらに,第二次大戦後80年が経った現代における,社会的格差,企業のリストラ,非正規雇用者やワーキングプアの増加,そして,劣悪な労働条件の「ブラック企業」「ブラックバイト」などの社会問題が,『女工哀史』の時代と重なるところが多いことを指摘します。それは,『女工哀史』に現代社会が抱える問題を乗り越えるためのヒントがあるかもしれないことを予感させます。
このような本書のガイドによって,実際に『女工哀史』を手に取ってみたくなる人も少なくないと思います。本書,そして,『女工哀史』へと読書をつなげ日本の歴史の確かな1ページを知る機会にしてほしいです。

(生垣琴絵専任講師/3F東開架 080||I 95||1110)     ※赤字をクリックでOPACにつながります