推薦図書
『村山龍平:新聞紙は以て江湖の輿論を載するものなり』
- 著者名 : 早房長治 著
- 出版社 : ミネルヴァ書房
- 出版年 : 2018年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2019 Vol.1
中高生の頃に学校の図書室で読書を楽しんでいた人ほど,大学の図書館の利用方法に困惑することがあるという。小説の類がほとんど置いていないためだ。大学図書館は,調査・研究に資する図書を収集している専門図書館であり,法学部の場合は主に社会科学に関する学術書が並んでいる。そこで小欄では,授業課題や研究のためだけではなく,専門図書館の蔵書を単純に読書として楽しむ方法を紹介しておきたい。それは,評伝を物語として読むことである。法学部図書館に収蔵されている評伝は,もちろん専門家が執筆した学術書なのだが,そのなかで活写されている一人の人間の生涯は,小説に優るとも劣らない刺激的な内容に満ちている。法学部図書館にはミネルヴァ書房の日本評伝選シリーズだけでも30余りのタイトルが収められており,標記の『村山龍平』もその1つである。村山龍平(1850-1933)は朝日新聞社の社主・社長として活躍した人物であり,「公平中立」を旗幟として同紙における様々な紙面改革を主導した人物である。本書で紹介されている村山龍平の足跡から,日本における近代新聞の誕生と発展の歴史を考えることが可能である。一例として代表的な新聞人の評伝をあげたが,この他にも政治家や学者,文学者や思想家の評伝も数多く収蔵されているので,ぜひ一度OPACに「評伝」と打ち込んで検索してみてもらいたい。
(石川 徳幸准教授/3F西開架)
(石川 徳幸准教授/3F西開架)