推薦図書
『事例問題から考える憲法』
- 著者名 : 松本和彦 著
- 出版社 : 有斐閣
- 出版年 : 2018年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2018 Vol.5
本書は「事例問題から考える」という書名からもわかるように,具体的な事案の解明を通じて憲法問題を考える演習書である。憲法に関する演習書は数多く存在するが,本書はそのなかでも議論のわかりやすさという点で群を抜いている。
演習書というと,どうしても事案の「解決」に目が行きがちであり,そのため「裁判所(裁判官)目線」で事案を眺めるスタイルが中心となる。もちろん,それはそれで勉強になるのだが,読み手からすると,学説・判例の紹介に始まり,何らかの「妥当(そう)な結論」が導き出されていくのを,戦いのリングの外から眺めているような気分になりやすい。
しかし,本書は,事案の分析から解決へといたるプロセスにおいて,徹底的に「当事者目線」に立つ。すなわち,実際に対立する当事者から見た場合に,その問題が憲法上のどのような利益や解釈と関係するのかが中心的なテーマなのである。このため読者は,本書において戦いのリングに放り込まれ,憲法論の応酬を当事者と同じ目線で疑似体験する。
全30問の事例は古典的なものから最先端の議論を誘発するものまで多様である。憲法を一通り学んだ学生諸君はもとより,いままさに学んでいる最中の学生諸君にも最適な演習書である。
(玉蟲 由樹教授/新着図書コーナー)
演習書というと,どうしても事案の「解決」に目が行きがちであり,そのため「裁判所(裁判官)目線」で事案を眺めるスタイルが中心となる。もちろん,それはそれで勉強になるのだが,読み手からすると,学説・判例の紹介に始まり,何らかの「妥当(そう)な結論」が導き出されていくのを,戦いのリングの外から眺めているような気分になりやすい。
しかし,本書は,事案の分析から解決へといたるプロセスにおいて,徹底的に「当事者目線」に立つ。すなわち,実際に対立する当事者から見た場合に,その問題が憲法上のどのような利益や解釈と関係するのかが中心的なテーマなのである。このため読者は,本書において戦いのリングに放り込まれ,憲法論の応酬を当事者と同じ目線で疑似体験する。
全30問の事例は古典的なものから最先端の議論を誘発するものまで多様である。憲法を一通り学んだ学生諸君はもとより,いままさに学んでいる最中の学生諸君にも最適な演習書である。
(玉蟲 由樹教授/新着図書コーナー)