推薦図書
『情報法のリーガル・マインド』
- 著者名 : 林紘一郎 著
- 出版社 : 勁草書房
- 出版年 : 2017年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2018 Vol.3
今日,法の領域として「情報法」が独立したものとして扱われているといっても異論はないであろう。一方,情報法の定義や概念については必ずしも確立したものがあるとはいえず,それ自体が議論の対象となっているともいえる。著者は,従来の法分野の枠組みのなかで「情報」をいかに位置づけようとし,また取り込もうとする指向では把握し解決しきれない問題があり,旧来の範疇に基づく情報や法の理解には限界があると指摘する。そのうえで,このような状況を「モヤモヤ」した感じと評し,思い切った発想の転換,すなわち従来の議論とは異なった情報法のとらえ方が必要であると説く。
情報法について,本書が読者に問いかけるのは「感性的理解」である。そして感性的理解を支え裏付けるのがリーガル・マインドであるとする。リーガル・マインドの定義はともかく,ここで重要なのは誰もがそう思えるような筋道が見えてくることであり,そのためには理論的に説明できる能力だけでなく一般的な感覚こそ求められることになる。
著者はビジネスの世界での経験を活かしつつ,長年にわたって情報法を研究してきた斯界の第一人者である。本書は,柔軟な発想を持つ著者の人柄が溢れ出る,今後の情報化社会に向けた提言書である。
(岡西 賢治准教授/3F東開架)
情報法について,本書が読者に問いかけるのは「感性的理解」である。そして感性的理解を支え裏付けるのがリーガル・マインドであるとする。リーガル・マインドの定義はともかく,ここで重要なのは誰もがそう思えるような筋道が見えてくることであり,そのためには理論的に説明できる能力だけでなく一般的な感覚こそ求められることになる。
著者はビジネスの世界での経験を活かしつつ,長年にわたって情報法を研究してきた斯界の第一人者である。本書は,柔軟な発想を持つ著者の人柄が溢れ出る,今後の情報化社会に向けた提言書である。
(岡西 賢治准教授/3F東開架)