推薦図書
『刑の一部執行猶予:犯罪者の改善更生と再犯防止』
- 著者名 : 太田達也 著
- 出版社 : 慶應義塾大学出版会
- 出版年 : 2014年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2018 Vol.2
刑事法の目指すところは,犯罪予防である。具体的には,犯罪者が再び犯罪を犯さないようにすること(特別予防)と,犯罪者以外の国民(潜在的犯罪者を含む)に対し犯罪行為の禁止を求めること(一般予防)である。しかし,その現実は厳しい。刑務所を満期で出所した人が再び刑務所に収容される率は,約6割である。まさに犯罪のスパイラルに陥っている人が少なくないのである。刑務所に収容すれば万全である,と刑事法を知らない普通の人々はそう考える。しかし,現実はその楽観を裏切っている。
そこで,なるべく社会との接点を保ちつつ,犯罪者が抱えている問題を改善し,それでもって,再犯予防を目指す考え方が生まれる(社会内処遇)。刑の全部執行猶予制度はその典型例である。そして近年,新たに導入されたのが,刑の一部執行猶予制度である。この制度は,犯罪者に言い渡す刑を実刑部分と猶予刑とに分け,猶予刑の期間は社会内処遇を実施するものである。再犯防止と薬物乱用防止の新たな選択肢として導入された。本書は,法律解釈論だけでは説明がつかないこの問題に取り組む筆者による力作である。
(野村 和彦准教授/4F西開架)
そこで,なるべく社会との接点を保ちつつ,犯罪者が抱えている問題を改善し,それでもって,再犯予防を目指す考え方が生まれる(社会内処遇)。刑の全部執行猶予制度はその典型例である。そして近年,新たに導入されたのが,刑の一部執行猶予制度である。この制度は,犯罪者に言い渡す刑を実刑部分と猶予刑とに分け,猶予刑の期間は社会内処遇を実施するものである。再犯防止と薬物乱用防止の新たな選択肢として導入された。本書は,法律解釈論だけでは説明がつかないこの問題に取り組む筆者による力作である。
(野村 和彦准教授/4F西開架)