推薦図書

『ベアテ・シロタと日本国憲法:父と娘の物語』

  • 著者名 : ナスリーン・アジミ,ミッシェル・ワッセルマン著 小泉直子訳
  • 出版社 : 岩波書店(岩波ブックレット)
  • 出版年 : 2014年
  • ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2017 Vol.5
書かれている内容とは不釣合いなほど,小さな薄い冊子である。数奇な運命により日本国憲法の男女平等を書いた女性の物語である。白ロシア出身のユダヤ系ピアニスト,レオ・シロタとオーストリア人の母の間にウィーンで生まれ,ナチス時代の迫害を逃れて日本へやってきて東京で育った。第二次世界大戦中,日本に両親を残してアメリカの大学へ進学し,そこで終戦を迎える。両親に再会したい一心で,GHQに職を求め,彼女は日本へ戻った。そこで思いもしなかったミッションを託される。
わが国憲法の男女平等がこのような稀有な状況で,日本を愛するユダヤ系女性の手によって書かれたことをこの本で初めて知り,ある複雑な感銘を受けた。
『1945年のクリスマス -日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝』(ベアテ・シロタ・ゴードン(著),平岡麿紀子(構成・文),柏書房)と,『日本を愛したユダヤ人ピアニスト レオ・シロタ』(山本 尚志(著),毎日新聞社)の2冊も合わせてお読みになることをお勧めいたします。
(真道 杉准教授/3F東開架)