推薦図書
『比較法ハンドブック(第2版)』
- 著者名 : 五十嵐 清 著
- 出版社 : 勁草書房
- 出版年 : 2015年
- ライブラリ−・ニュース掲載号 : 2017 Vol.1
比較法の第一人者である著者が「60年を超える比較法研究の総決算として」(本書はしがきより)執筆した比較法の概説書である。「ハンドブック」という名称ではあるが,比較法とはどのようなものなのかについて読者にじっくり語りかける「骨太の指南書」と言い換えても良い。たとえば「大陸法系では△△△だが,英米法系では×××である」などという議論に遭遇して???と思ったら,本書の「法系論をめぐって」(第5章)を繙いてみよう。世界の法制をいくつかにグループ分けして分析する法系論を通じて諸外国の法律を眺めてみることは大変面白いし,あるいは日本法に対する見方について示唆を得るところも少なくなかろう。ただし,法系論の全盛期を知る著者は,その限界をも冷静に見据えている。本書が出版された翌年,著者は91年の生涯を閉じた。
著者が最晩年まで情熱を注ぎ若い人々に後を託した比較法の未来は,なかなか手強そうである。だが,その難局を乗り越えるヒントもまた本書のどこかに隠されているように思われてならない。
(織田 有基子教授/4F東開架)
著者が最晩年まで情熱を注ぎ若い人々に後を託した比較法の未来は,なかなか手強そうである。だが,その難局を乗り越えるヒントもまた本書のどこかに隠されているように思われてならない。
(織田 有基子教授/4F東開架)